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恐山 死者のいる場所 / 南 直哉 [本/宗教哲学]


恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)

恐山: 死者のいる場所 (新潮新書)

  • 作者: 南 直哉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/04/17
  • メディア: 新書


【恐山 死者のいる場所/南直哉/12年4月初版】
生きてるうちに一度は行ってみたい恐山。
パワースポットのアンケートでは、伊勢神宮に次ぐ堂々の二位です。

著者は早稲田の文学部出身で、百貨店勤務後に脱サラ出家し、
永平寺で約二十年修行後に、恐山菩提寺の住職代理をしている南直哉氏。
永平寺での長期間の修行は、彼自身の問題を解決するために行ったとのこと。

永平寺というのは、基本的には寺の後継者が2~3年修行して山を降りていく教育機関。
5年いれば長いほう、10年、20年選手はほとんどいません。
一生ここで修行僧としていたいという著者のような人は、非常に珍しい存在だったようです。

早く修行を終えて下山したいと思う人間が大半のところに、「永平寺で死にたい」と居続け、
後輩に峻烈な指導を続けたため「永平寺のダースベーダー」とまで呼ばれていたと。

それが7年前に恐山の住職の娘さんとの縁談により、恐山の住職代理となった。
恐山の住職として7年間考え続けたことをまとめた1冊の本です。これが面白い1冊です。

禅や仏教モノは好きで、図書館にある仏教コーナーにある本はかなり読んでるつもりですが、
わかりやすさで言えばひろさちや、葬式仏教にかんする批判的な態度は島田裕巳、
哲学的な思考形式と、目に見えないものを肯定する部分は内田樹のようで、
これらをミックスしたような著作です。一和尚の域を超えてます。

まったく知らなかった人なので、こんな人がいるのかと検索してみると、
茂木健一郎や宮崎哲弥なんかとの共著があったり、売れっ子なんですね。

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<恐山外観>
恐山は温泉場で硫黄がモクモクと噴出していて、金属への影響は相当なもの。
とくに鉄や銅はあっという間に腐食する。1日置くとお賽銭は真っ黒になる。

電化製品は軒並み不調で、パソコンは6ヶ月、携帯電話は3ヶ月、デジカメは1週間で壊れてしまう。
デジカメのレンズが勝手に出入りするさまを見て、怪奇現象だと騒ぐ人もいるが、ただの化学反応。

なにしろ鉄が駄目なので、新築した宿坊は特注のステンレスの釘(100円/本)を使ったとの事。
植物は自生してないものは根付かず、桜を100本移植したところ、1本だけしか根付かなかった。



<死後の世界はあるのかないのか>
「はたして死後の世界や霊魂があるのか、ないのか」と問われたときに、
「答えない」というのが、仏陀の時代からの公式見解。それを仏教で「無記」と呼ぶ。
なぜ答えないのか、それは「ある」と答えても、「ない」と答えても論理的な矛盾が生じるから。

恐山のイタコは、寺とはまったく関係がなくて、言わば「縁日の出店」のようなもので、個人営業。
絶滅危惧種で、弟子はたくさん来るのだが長続きしないらしい。

イタコについては、「母とは違う」と苦情をいう人もいれば、
「ありがとうございました」と感動する人もいる。
恐山に7年もいれば、そういう「事実」があったと否定できない部分がある。
この本にはそういう「事実」として、カナダ人の話と、弁護士の話と、
中年の婦人の信じられないような話が記されている。

亡くした人を思い焦がれ、恐山には年間20万人の人が訪れる。震災後はとくに増えてるそうです。

ぼくが特に感銘したのが、禅僧という小乗仏教的なストイックさで物事を理解し人にも接してきた著者が、
途方もない悲劇に襲われた人々に対し、大乗仏教的な振る舞いをしたということです。
なんと言葉をかけてよいかわからないような悲劇の人々に対し、その人たちを救おうとすると、
ファンタジーはあると言わずにおれなかったという事です。



Ghosts - Dan Fogelberg♪



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yukky_z

恐山ですかぁ~? 実は私、かなり霊感が強い方なので、
その辺のことに関しては、"ノーコメント" とさせて頂きます^^;

最近 Joe Walsh の新譜の記事ばかり載せてましたが、
Glenn Frey も同時期にカヴァー・アルバムを出すそうですね!
6月も CD代が嵩みそうですわぁ...
by yukky_z (2012-05-23 00:09) 

みかん

donさん、こんにちは^^
・・・私がコメント入れる時間は、日本では草木も眠る丑三つどきですね。^^;

震災後は恐山へ行く人が増えているのですね。
なんと声をかけていいかわからない悲劇。 今、この本のような
救いが必要なときかもしれませんね・・・。
by みかん (2012-05-23 03:06) 

rtfk

こんにちは^^)
恐縮ながら恐山にはあまり興味が無いのですが
永平寺は門前までは行ったことがあります。
しかし中には入りませんでした。。。
祖父は曹洞宗の寺を熱心に支援した縁で
永平寺から表彰状などをいただいていましたが
そのせいか観光気分では入ることができませんでした。。。

by rtfk (2012-05-23 12:10) 

don

yukky_zさんこんばんは!
お~、最高の情報ありがとうござます。
久しぶりのグレンのアルバム、買ってみようかな。
その前にジョーも買いたいです^^

シックスセンス、ある人はあるみたいですね。
人生で二人だけ、あるという人に話を聞いた事があります。
そのセンス、大事にしてください[__犬]
by don (2012-05-23 23:13) 

don

みかんさんこんばんは!
この本を読む前に、びびりまして、夜に読むのをやめました。
昼なら、怖い話になっても大丈夫だろうと^^

人の気持に寄り添うことは、難しいです。
一番参考になったのは、犬でした。
たぶん、だまって肯定してあげればいいのでしょう[__犬]


by don (2012-05-23 23:20) 

don

rtfkさんこんばんは!
すごいですね、永平寺からの賞状ですか。
お寺さんからの感謝の言葉というのは、
普通以上にありがたいものです。

だいたいにしてお寺さんに院号をもらうために、
百万ほどのお金を使う場合もあるくらいですから。

たしかに数代後の子孫からすると、院号かどうかでしか、
栄華を成したか判別できないですしね。

今からの時代はどうなることでしょう。[__犬]
by don (2012-05-23 23:29) 

mignon

恐山ってちゃんとしたお寺が存在したのですね。
イタコさんのみが居るこわーい所かと思ってました。
そういえば私の知人でイタコさんにみてもらった人が居ます。
でも怖いですね。苦手です。
by mignon (2012-05-24 00:45) 

月夜のうずのしゅげ

「恐山」読んでみたいと思います。土屋アンナの動画見ました。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-05-24 09:11) 

haku

親父が無くなって、葬儀やら仏壇やらお墓やら検討するのに、
この2カ月でやたら仏教が詳しくなりました ^^;
by haku (2012-05-24 10:13) 

heroherosr

恐山の寺も曹洞宗でしたか、けっこう意外なお寺が曹洞宗だということがありますね。
by heroherosr (2012-05-24 10:21) 

mino

こんばんは^^
恐山と言えば、霊感が全くない私からすると胡散臭い場所のように感じるのですが、島田裕巳のような「葬式仏教にかんする批判的な態度」を取る和尚さんが書いた本だとすれば、尚のこと興味津々です。
恐山のイタコさんって個人営業なのですね。初めて知りました。
by mino (2012-05-26 00:39) 

don

mignonさんこんにちは!
ぼくも同じように思ってました。イメージ先行ですね。
実際は年間20万人が訪れる観光地です。
そりゃ、ぼくも青森に行けば一度は行ってみたいと
思うくらいですから^^
by don (2012-05-26 10:33) 

don

月夜のうずのしゅげ さんこんにちは!
土屋アンナさん、猛スピードで生きてますね。
身近にもいますが、ああいうタイプはなかなか
生き方を変えれないんですよね。

細く長く生きればもっと楽なんでしょうけど[__犬]
by don (2012-05-26 10:36) 

don

hakuさんこんにちは!
そうでしたか。。色々と大変でしたね。
胸中お察しいたします。

ぼくも長男として葬儀を取り仕切りましたが、
なんというか、葬式を出すと一人前の大人になった
気分になりますよね^^
by don (2012-05-26 10:41) 

don

heroherosr さんこんにちは!
この本によると、15世紀頃までは、山岳修験の天台宗だった
そうですが、地元の争いに巻き込まれて寺は廃却。
その後100年ほど荒廃していたそうですが、1530年に曹洞宗
の坊さんが恐山を再興したとのことです。
by don (2012-05-26 10:48) 

don

minoさんこんにちは!
コメントありがとうございます。

お寺さんの息子の世襲じゃないからでしょうね。
脱サラで、禅宗の真理を徹底的に追究しようとした
早稲田出の坊さんなので、既得権益と離れたところ
にいますから。

彼は今後の仏教の進む道を必死に模索しています。[__犬]

by don (2012-05-26 10:56) 

青山実花

うわー、イタコだイタコだー(笑)。
私の職場の先輩の、亡くなったお祖母様というのが、
それはそれは面白い方だったそうで、
いつも、「いつか恐山のイタコで呼び出してみたいね」と、
しょっちゅう冗談を言っているのです。
頻繁に恐山の話題が出るせいで、
イタコさんへの心の距離がとても近いものに感じられて(笑)。

私はオカルト的な事は信じないので、
本当にお祖母様が出てくるとは思っていませんが、
恐山に行ってみたいのは本当です。

by 青山実花 (2012-05-26 23:20) 

don

青山実花さんこんにちは!
イタコさんのことが日常会話にでてくるのは、
なんというか、めずらしいですね^^

恐山でほんとのお祖母様が出てきたら、
人生観が変わるのでしょうね[__わーい]
by don (2012-05-27 10:36) 

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