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マイルス・デイヴィス完全入門 [音楽]





お盆休みは如何おすごしでしょか?
海へ山へ素晴らしいバケーションをお過ごしのことと思います。
ぼくは世界で一番地味な夏休みを過ごしています(涙)
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【マイルス・デイヴィス完全入門/中山康樹/01年9月初版】
ビートルズとデイヴィスとディランを語らせたら右に出るものの無い中山康樹。
デイヴィスのおっかけが高じて、スイングジャーナル編集長までなった人です。
図書館にあるジャズ本はたくさん読みましたが、
口語体で笑いがあって一番読みやすかったのが、中山康樹の本です。

ぼくはジャズ初心者で、音源はたぶん200枚ほどしか持ってないし、
デイヴィスに至っては15枚ぐらいしか聴いてません。ツタヤにある分だけです。
(デイヴィスの作品は300枚以上あるそうです)

なんでこんな古い本を借りたかと言うと、
かの有名なマラソンセッションのデジタルリマスター5枚組みボックスを1200円で買ったからです。
Walkin'を加えた5枚組みが1200円ならレンタル並なので購入しました。
(既に持ってるものもありましたが)
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Walkin' Cookin' Relaxin' Workin' Steamin'

Walkin' Cookin' Relaxin' Workin' Steamin'

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Pid
  • 発売日: 2010/08/24
  • メディア: CD



本を読みながら聴くと、いつも以上に音が親密に感じられます。
人は物語を求めているのでしょうか。

(注マラソンセッション:ジャズ専門のレーベルPrestige から、
メジャーなレコード会社 Columbia へ移籍したのだが、
Prestige との間に残っている契約を履行するため、
1956年5月11日と10月26日のわずか2日間で、アルバム4枚分の演奏を録音した。
これらの演奏は、ほとんどがワン・テイクで録音され、4枚の LP レコードに収録されて、
1年に1枚という間隔でリリースされた)




デイヴィスを何から聴くか。いろんな人がいろんなアルバムを推してます。

ジョニミッチェルやジャクソンブラウンは、
無人島にもって行きたい作品として(たしか一人5枚のチョイス)、
イン・ア・サイレント・ウェイを挙げていました。

村上春樹は「これを境に自分の中で何かが変わってしまうことだろう。
そしてたぶんもう二度ともとの自分には戻れないだろう」と感じた「失われた一日」に、
フォア・アンド・モアを聴いたそうです。

スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100(http://jazzcd.jp/best/)の2位には、
カインド・オブ・ブルーが入っています。20世紀の必聴盤でしょうか。



デイヴィスをデイヴィスたらしめているのは、革新性が第一に挙げられますが、
ぼくはリアルタイムに聴いてないので、そこは響いてきません。

個人的には二つです。まずはノンヴィブラート奏法。
多くのトランペッターが吹く音に対して、まったくといっていいほど「震えて」いません。
この独特の奏法が最大限に光るのは、ゆったりとしたテンポにのってバラードを吹いたときであり、
その繊細な演奏からは、次のような有名な形容詞が生まれることになります。
「卵の殻の上を歩く男」
「クロゼットの中で泣きじゃくる小さな子供」

これは1938年に中学に進学したデイヴィスが、スクールバンドに参加し、
ブキャナン先生に週に1回指導を受けたことによります。
ブキャナンのデイヴィスへの指導で伝説となっている言葉です。
「そんなに音を震わせることはない。いずれ年をとったら震えるようになるさ」

二つ目は「気品」です。肌が黒いというだけで受けた人種差別、
それに対する怒りは彼の革新性に対する原動力になりましたが、
当時の黒人としては例外的ともいえる裕福な家庭に生まれたことが、
彼のサウンドに「気品」をもたらせます。

まず彼の祖父は黒人でありながら、いまでいう会計士・税理士のような仕事をして成功をおさめ、
のちに60万坪(甲子園球場150個分くらい)もの土地を所有する大地主になったといいます。
また父親はノースウエスタン大学を卒業した後、歯科医院を開業し、大きな成功をおさめます。

マイルスの父親の趣味がゴルフであったことも驚かされます。
1930年代に白人の社交場であるゴルフ場への出入を、
許されるくらいの立場であったことを物語っています。
セントルイスなので境界州とはいえ、南部では「奇妙な果実」の時代です。

ジャスというヤクザな音楽の中で、
デイヴィスのサウンドがクールさや理知的なものを感じさせるのは、
こうした家庭環境からの影響が考えられます。



その後デイヴィスは、16歳のころ地元のダンスバンドで演奏をはじめます。
教会やビアガーデンなんかで演奏し当時6ドルももらっていたそうです。
ここでのポイントはバンドで最年少のデイヴィスが、音楽監督を任されたことです。
中山康樹によると、譜面が読めて、音楽理論がわかっていたからだと。

18歳のとき名門ジュリアード音楽院への入学を条件に、
父親からニューヨークへ進出することを許可されます。
しかしクラシックしか音楽じゃないと思っている白人教師から学ぶべきことは無く、
毎晩のようにジャズクラブに通ってチャーリーパーカーや、
ディジーガレスピーといった偉大なミュージシャンと共演します。

40年代の中期、ビバップムーブメントに最年少で遅れてやってきたのです。
遅れてきたがゆえに、客観性をもちえたデイヴィスは、ビバップの渦中に身を置きながら、
ビバップに代わる新しいジャズを模索すべきだと考え、その役割を自分に課したのです。




ワーキンの1曲目。美しいなぁ♪ ノラの新作の1曲目Good morningに雰囲気が似てます。
Miles Davis - It Never Entred My Mind (1956)
with the Miles Davis Qiuntet. Miles Davis (trump)
Philly Joe Jones (drums) Red Garland (piano) Paul Chambers (bass)






マイルス・デイヴィス完全入門―ジャズのすべてがここにある (ベスト新書)

マイルス・デイヴィス完全入門―ジャズのすべてがここにある (ベスト新書)

  • 作者: 中山 康樹
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2001/08
  • メディア: 新書



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コメント 24

rtfk

こんにちは^^)
宇宙で最も地味な夏休み中です(涙)
マイルスの育った環境がそうだったとは知りませんでした。。。
私はジャズには疎いのですが聞くのは好きなので
入ったお店のBGMがジャズだったりすると
なんとなく嬉しくこの年でも少し大人になったような気がします(爆)

by rtfk (2012-08-14 13:41) 

mignon

donさん、こんにちは。
私は家で一人お留守番夏休み
です。好きな時間に好きな料理を作って食すっていうのは幸せですね。
私もジャズ好きです。独身のときはブルーノートなんかも行ったもんです。でもあんまりdonさんほど詳しくないんですけどね。携帯の着信音はいつもジャズです。あっそれとボサノヴァも好きです。
by mignon (2012-08-14 14:29) 

せいじ

中山康樹さんの本は痛快ですね!
マイルスを理解すると共に
マイルスからも理解されていた凄い人です。

私が持っているマイルスは60枚くらい。
ブートは追っかけない事にしています。


by せいじ (2012-08-14 16:03) 

銀狼

初心者とご謙遜されていらっしゃいますが、
スゴイ量の音源をお持ちじゃないですか!^^
私の高校の同級生で大のマイルス好きがおりまして、
彼の家に行く度に聴いていた事を思い出しました。
by 銀狼 (2012-08-14 17:06) 

don

rtfkさんこんにちは!
お~宇宙ですか。やさしいですね。
合わせてくださってありがとうございます^^

ジャズはたしかに大人の世界のイメージがありますよね。
なんか背伸びしたような。ぼくの場合は、ウエストコースト系
とか女性ボーカル物とか、聴きやすいのがメインです。
フリージャズとかの難解なモノには、よりつきもしません^^;




by don (2012-08-14 19:23) 

don

mignon さんこんばんは!
やっぱり一人は楽しいです。自由ですから。ずっと一人なら
寂しくなるのでしょうけど。

すごいですね、ブルーノートですか。高いからしょっちゅうは
行けないところですよね^^;ぼくはソネぐらいならたま~に行って
ました。ジャズバーやジャズ喫茶のほうが気安いので、
そっちのほうが回数行ってました。

ジャズの着メロおしゃれですね♪ぼくはビートルズのインマイライフ
にしてます。


by don (2012-08-14 19:35) 

don

せいじさんこんばんは!
>マイルスからも理解されていた凄い人です。
さすがよくご存知で。家にも行ってたみたいですね。

まぁジャズの巨大マーケット日本の、旗艦雑誌の編集長ですから、
マーケティング戦略としたら大事にすべき存在なんでしょうけど。

60枚ですか!そうとうハマってますね[__ふらふら]
by don (2012-08-14 19:40) 

haku

背景を知ると同じ音でも違った感慨に浸る事が出来ますね!
でも、それは何か音に対して理解しようとする
解析の脳が働いているようだ気がして... ^^;
彼の音も先入観なしに、ストレートに心に響きますよね♪
>いずれ年をとったら震えるようになるさ
これは、どんな楽器ににも、歌にも言える事ですね!

by haku (2012-08-14 19:52) 

don

銀狼さんこんばんは!
いや、ジャズファンの前で200程度の音源でツウぶってると、
「おとといきやがれっ、ヘンっ」と言われそうなので止めときます^^

それよりも松田聖子がいかに偉大か。ぼくは女性ジャズボは
相当聴いてるつもりです。奥さんが癒してくれないので、ジャズボ
に癒してもらおうと思いまして^^

100人ぐらい聴いた後に、ある日松田聖子を聴きました。
「あ、これや求めてたのは」
ぼくは野太い声の黒い太った人の歌は、あんまり好きじゃないんです。
かわいい声で、美しい人がいい。あの甘えた声は反則です[__ふらふら]
p.s.今井美樹も好きです[__揺れるハート]

by don (2012-08-14 19:52) 

don

hakuさんこんばんは!
さすがギタリスト♪音に対する思いが深いですね。
やっぱりギターも年とったら震えるようになりましたか^^

音楽に限らず理解しようと努めると、違った側面が見えてきます。
わりとそういう接し方が好きです。
by don (2012-08-14 20:12) 

vega

学生時代に、ジャズ好きの友人の影響で聴いていた時期がありました。
そしてしばらく疎遠になり・・
もう一度きちんと聴きたい…と思っています。

今週も、いつもの電車に乗っていつもの職場に…
果たして夏休みはとれるのか…(ノ_・。)
by vega (2012-08-14 22:07) 

DEBDYLAN

この人の本は僕も何冊か読みました。
今度ストーンズの本も出したんですよね。
ソレも読んでみたいなと。

JAZZは好きだけど、僕もほとんど門外漢なんです^^;

by DEBDYLAN (2012-08-14 23:12) 

mino

マイルス・デイヴィスは裕福な家庭で育ったんですね。
知りませんでした!

Kind of Blueが個人的にはサイコーです。
by mino (2012-08-14 23:34) 

seawind335

確かに、マイルスの演奏は本当に繊細だと思っていたのですが、このようなバックグランドがあったのですね。
by seawind335 (2012-08-15 01:35) 

don

vegaさんこんばんは!
>もう一度きちんと聴きたい
そういうのってありますよね。老後の楽しみにロシア文学は
とってあります。ハッピーリタイアすると時間は膨大にあるので、
ある程度の楽しみは残しておいたほうがいいような気がします。

お仕事お疲れさまです。愛犬との散歩コースに銀行があるのですが、
盆の間でも銀行は開いてて、朝早くから仕事してました。
頭が下がります。ぜひよい夏休みをおとり下さい。[__犬]
by don (2012-08-15 19:28) 

don

DEBDYLAN さんこんばんは!
さすが早耳ですね。調べてみると7月に出してるみたいです。
ストーンズ本は1400円くらいしてたので、まずは図書館に購入申請して、読んでみてから面白ければ購入したいです。

彼の全曲解説シリーズはネタの宝庫なので、手元においておきたい本が
多いです。

情報ありがとうございました。[__犬]
by don (2012-08-15 19:33) 

don

minoさんこんばんは!
カインド~は、ステレオなのがいいです。
ヘッドホンで聴くのが面白いです。asとtsがどちらかわかりにくい(笑)
右と左がasとtsが途中で切り替わりますよね。
何度も聴いてしまう音源です。[__犬]
by don (2012-08-15 19:45) 

don

seawind335 さんこんばんは!
思わず聴きこんでしまう繊細さがありますよね。
真夜中に、旨みを感じる酒とともに楽しみたい音楽です[__犬]
by don (2012-08-15 19:49) 

heroherosr

私は夏休みをとっていないのに、働く気になれず結果として休んでいるという複雑な夏休みをとっています。
by heroherosr (2012-08-16 18:00) 

松本ポン太

こんばんは。
ボクはマイルス・デイヴィスは雑誌CDも含めて3枚くらいしか持ってないのですが、この5枚組はボクも聴きたくなりました。
by 松本ポン太 (2012-08-16 22:00) 

みかん

donさん、こんばんは^^
村上春樹の、失われた一日にマイルスデイビスを聴いた、という
文章、なんとなく記憶してます~。 私はジャズ初心者ですが、
本を読みながら聴いていると、きわだって聞こえる感じ、しますね^^
春樹氏の、「ポートレート・イン・ジャズ」を読み返してみようかしら♬
by みかん (2012-08-18 01:32) 

don

heroherosr さんこんにちは!
こう暑いと働く気になりませんねぇ。
夏休みとは、うれしい制度です^^

by don (2012-08-18 11:13) 

don

松本ポン太さんこんにちは!
このマラソンセッションは、デイヴィスの良さがよくでています。
これでステレオなら文句は無いのですが、この時代のジャズは
モノラルですねぇ。そこだけがヘッドフォンで聴く者としては
不満です^^;
by don (2012-08-18 11:16) 

don

みかん さんこんにちは!おとといくらいから暑いです。[__晴れ]

そういえばあの本購入されたんですよね。
ぼくの場合は枕元本なので、毎日とはいいませんが
数日に1回は読んでます。

彼の本を読んでから文章を書くと、文章がやさしくなるという
効能があるんですよね。文章がきついときは、あ、読んでないな
と思ってください[__犬]
by don (2012-08-18 11:20) 

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