So-net無料ブログ作成

【ナポレオンの村】原作本のあらすじ~ローマ法王に米を食べさせた男 [本/Biz経済]






ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)

ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)

  • 作者: 高野 誠鮮
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/23
  • メディア: 新書


【ローマ法王に米を食べさせた男/高野誠鮮/12年4月初版】

7月19日TBS日曜劇場ではじまる「ナポレオンの村」の原作本。
スーパー公務員の痛快サクセスストーリーです。原作はすべて実話。
毎週1時間ドラマ見るんだったら、本ならざっと2時間半ほどで読めて時短になる。

主人公の高野誠鮮さんは、石川県羽咋市出身のお寺の次男坊です。
家は代々日蓮宗の僧侶で、誠鮮さんで41代目。556年続いている。
親父さんも僧侶をしながら公務員で、誠鮮さんも同様です。

立正大学時代から、東京で11PMの企画構成作家をやって、テレビ業界にいた。
お兄さんが家を継がないということで、石川県に呼び戻され市役所の臨時職員をしながら家を継ぐ。
(その後必要な人だということで、正式な公務員となる)

NASAやロシア宇宙局から本物の帰還カプセル、ロケット等を買いつけて、
宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」をつくり話題になる。

パワハラ上司に出会い、「おまえみたいなヤツは、農林課に飛ばしてやる!」
平成14年4月、48歳で農業のことをまったく知らないのに、農林水産課に飛ばされた。
上司にとっては、農林水産課は役所の中では下の下。クズ職員が行くところと思っていた。

平成17年、過疎高齢化が問題となった羽咋市神子原地区を、
年間予算わずか60万円で立て直すプロジェクトに着手する。

神子原米のブランド化とローマ法王への献上。
Iターン若者の誘致、農家経営の直売所「神子の里」の開設による農家の高収入化などで、
4年後に限界集落(人口の50%以上が65歳以上)の脱却に成功し、スーパー公務員と呼ばれる。
平成23年より自然栽培米の実践に着手。各種の賞を受賞する。

以下にその他の読書メモを。

(広告)




<農林課で何をすべきか>
上司を見返してやろうという気持ちもあった。
農林課で何をすべきか考えたときに、脚本を書いて、ドラマを作ることができれば村は動くと考えた。
ドラマを演じてくれるのは村の人。具体的なシナリオさえかければ、村は動くはずだ。
なぜそれまで村は動かなかったのか。ドラマを頭の中で構築してなかったからだ。



<なぜ過疎高齢化率は54%を超えたのか?>
対策を打ってたらこんなことにはならない。市役所がきちんと機能していなかった。
役所の判断ミスではないか。そこで市長に提案した。
「稟議書は出しません。決裁書も書きません。それでよろしいですか」

それまで新しい事業を始めるときは、稟議書を出していた。
役所では多くのことをやっていたが、現実問題として農家の暮らしは年々ひどくなっている。
やってきたことは間違っていた。長い間まちがった判断をしてきた人たちに稟議書を出しても、
また判断を間違うと思った。稟議書を出してもいろんなセクションで止まってしまう。
1年で成果を出せと市長に言われているのに、従来の決済のやり方では時間がかかりすぎる。
それで先にやることを決めて、あとで報告することにした。
(市役所内の軋轢は本書で。なまなましいです)



<農業の最大の欠点>
農業の最大の欠点は、生産者が自分で作った作物に自分で値段がつけられないこと。
1本100円かけてつくった大根が、この日は大根がたくさん獲れたから30円と言われてしまう。
70円の赤字になる。赤字の補てんは誰がやるのか?JAではない。農家自身がやる。
それを解消するには、農家が希望小売価格を設定して販売する直売所をつくるしかない。

事業予算は60万円。賛同者は169世帯中わずか3世帯。
60万円は愛媛の内子町、つくば市、など有名直売所を視察する費用に消えた。
富山の氷見市がやってた「棚田オーナー制度」ならやれそうということではじめた。

米40kgを3万円でオーナー契約し、
田植えと刈り取りの時期には、オーナーに田んぼに入って農作業をしてもらう。

これを始めるとき、知恵を絞った。
アメリカAP通信、フランスAFP通信、イギリスロイター通信の3大通信社に英文でファックスを流した。
山のきれいな水だけで作られた美味しいコメが、3万円で40kgであると。
どこかが取り上げてくれたらと、淡い期待だけだったが、
イギリスのガーディアンが記事として扱ってくれた。

それをみたイギリス領事館員が問い合わせてきた。
「山の水だけできれいに育てたお米があるんですか?」
「あります。工場排水や生活排水は、いっさい入っていません」
領事館員、来ました。品川ナンバーのジャガーに乗って、神子原まで奥さん連れて。

5810ed6663e4b1b87566220605a968df[1].jpg

そして彼らにオーナー第一号になってもらった。
そのことを県内のメディアに伝えた。
「神子原のオーナー第一号は、イギリス領事館員」
それはどういうことだ?
取材がたくさん来て、カメラも何台も入って田んぼを撮影してくれた。
それで40組しか募集してないのに、100組以上も応募してきた。

最初反対してた人も、JAに出して60kg1万3000円が、
40kgの玄米で3万円だということで、みんな参加してきた。



<学生の農業体験制度>
おもに学生など若い人に農家に2週間泊まってもらって農業体験してもらう。
仮の親子関係を結び、第二のふるさととして味わってもらう制度。

石川県庁がクレームを言ってきた。
「そちらは学生を泊めて料金もらってるんですね。法律違反ですからただちにやめてください」
「旅館業法、食品衛生法にひっかかります」

石川県庁の薬事衛生課から5~6回呼び出しがあったが1回も行かなかった。
そのかわり朝日新聞と読売新聞の記者を取材に行かせた。
「烏帽子親制度を現在の法律に適用させようという公務員がいます。おもしろいと思いませんか」
すると県庁は手のひらを返したように、仮であっても親子関係なのだから、
不特定多数の人間を泊めるわけではないですよねと、急に態度が変わった。

旅館業法を適用しようとすると、厨房を直したり、最低でも5~600万円のお金がかかる。
過疎高齢の村で、農家の年間収入が87万円しかない村。
そんなところでおじいちゃん、500万円出してよとは言えない。
それで苦肉の策で考えたのが、烏帽子親制度。



<酒が飲める女子大生で話題作り>
ちょうどそのとき国交省の補助事業「若者の地域づくりインターン事業」の認可が下りた。
学生の旅費や宿泊費はすべて国交省もち。予算が60万円しかないので、
国の100%補助事業にはすべて手を挙げた。

このインターン事業を烏帽子親制度と結び付けてマスコミに報道してもらうと、
大きな話題となる。そう確信して、やってくる学生に条件を付けた。
「女子大生2名を希望します。ただし酒が飲めること」

法政大学と東京農大の2人の女子大生がやってきた。
テレビカメラは3台、新聞記者は5~6名来た。

第一号の子たちは、ほんとにいい子たちで、よく働いて、夜はいつも宴会してくれた。
村の人はみんな集まって、あんないい子たちなら俺らも受け入れると。

彼女たちも大学に帰ってから触れ回ってくれた。
法政大学の堀上教授に、「先生、携帯はつながらなかったけど、心がつながって帰ってきました」
教授はすぐにやってきて、「うちのゼミ生を送り込んでいいですか」
それから大量に学生がくるようになった。

村はよそ者をはじこうとする。
そこに酒が飲める女子大生が入ってきて、村の閉鎖的な気質をこじ開けた。
集落の人も心を開くようになって、アメリカ人でさえ受け入れるようになった(感動的な話は本書で)。
今は社会人も受け入れている。農水省のキャリアも1か月間泊まった。
烏帽子親農家制度、援農合宿の体験料金は、1泊2日で大人2000円、学生1500円。
羽咋市役所で受け付けてる。



<ロンギング作戦>
もともと羽咋のコシヒカリは美味かった。日経BPで美味いコメ3位に選ばれたり、
料理番組でも特選素材として選ばれていた。だけど、良かったねだけで終わっていた。
売り方を知らなかった。役所やJAの人間は誰も動いてなかった。怠慢。
新潟の南魚沼産にひけをとらない米なのに。

グレースケリーのケリーバックのように、社会的影響力のある人が、
「いつもおいしく食べてます」と言ってくれたら、どれだけ強いブランドになることか。

最初に行ったのは宮内庁。天皇が食べるのは献穀田からと決まってのでこれはダメだった。
それでローマ法王やブッシュ大統領に手紙を出した。
すると東京のローマ法王庁大使館から、連絡があった。すぐに市長を同行して訪問。
すべて勝手に決めてから市長への報告なので「なんでおれがバチカンに行くんだ?」
バチカン大使館との話し合いの中で、献上米として了承された。

これがマスコミに伝わり、驚くほどの勢いで売れ始めた。
1kg700円で売り出した。ふつうの主婦層は1kg200~300円の米を買う。
南魚沼産のコシヒカリは当時830円~1300円程度だった。1か月で700俵も出た。

もうひとつやったのは、田園調布と白金には電話があっても売らない作戦。
成城や目白にも売らなかった。全部で60件断った。
「先日までありましたが、たった今売り切れました」
「行きつけのデパートに、お問い合わせされてはいかがでしょうか」
でもデパートにはない。取引してないから。

何をしたかったかというと、デパートの高級品売り場に置いてほしかった。
デパートは富裕層に弱い。富裕層はデパートの外商に問い合わせる。

さっそくバイヤーから高飛車な電話がかかってきた。
「わずかでしたらございますが。トラックをまわしていただければ」
こちらから売ろうとすると、定価の25%は最初に値引かれて、輸送費、袋代、冷凍倉庫代など、
こちら側の負担になってしまう。おまえらの商品を扱ってやってんだから。と低く見られてしまう。
彼らが頭を下げたら主導権はこちらが取れる。



<エルメスの書道家に米袋をデザイン>
はじめはルイヴィトンにコメの袋をデザインしてもらおうとしたが、断られた。
それでヴィトンの次はエルメスの作家を調べた。
吉川先生の名前を見つけた。福井に住んでて羽咋に近い。
ただ吉川先生に仕事をお願いすると数百万円かかる。けどお金はない。

マネージャーを通さず、直接本人にお願いした。
神子原の過疎地区の窮状をお伝えし、
「先生、お礼に米を30kgしか差し上げられないんですが、
ぜひ一筆 ''能登 神子原米'' と書いてください。お願いします。先生のその筆が村を救います」
先生、書いてくれました。

0001[1].png

けれど後日マネージャーから怒られました。
菓子折り自腹で買って、福井の先生の家まで車を飛ばし、玄関で土下座をした。



<アラン・デュカスとのコラボ>
史上最年少でミシュラン三ツ星を獲得したフランス料理界で有名なアランデュカス。
そこのチーフソムリエが、神子原米がローマ法王御用達ということを知って、
平成20年にパリから神子原にやってきた。

棚田に案内してくれというので連れて行ったら、彼はスタスタ田んぼまで歩き、
そこでいきなり袖をまくって田んぼの土にズボッと指を突っ込んだ。
で、引き抜いてにおいをかぎ、さらには土をなめた。何をしとんじゃと目が点になった。
それから稲穂を見て、刈り取る時期を当てた。

「私は店で使うすべての材料の生産地を訪ねます。候補のブドウやトマトがあれば、
その畑まで行って、地面のにおいをかいで土をなめてみます。
それからうちの店で使おうと決めるんです」

さすがやることに妥協がない。
JAの職員はそんなことしない。
彼がやってる姿というのは、江戸時代の田廻り役人のやり方。

そして彼は「私はフランス料理に合う日本酒を造りたい」
2年かけて石川県の酒造メーカーも協力してくれて完成した。
フランスに1000本、日本に数百本置いた。
銀座の「ベージュ アランデュカス 東京」に行ったら飲める。ただし高い。
パリのアランデュカスでは、神子原でつくった自然栽培米も採用された。



<1年間で45回の会議>
直売所のメリットを話したのち、資本金は300万円ぐらいにして、
まずは小さな規模で会社を始めましょう。設立して5年は赤字が続くと思いますが、
6年目からは黒字になっていくということを説明した。

169世帯中わずか3世帯しか賛成しなかった直売所経営。
農家が物を売れるわけがない!という理由だ。
高野氏はどうやってみんなを説得したのか。

まず2年間役所で売ってみた。
やってみせて、つぎにやってもらって、本人が納得しないと人は絶対に動かない。
つくばの直売所を視察して面白いと言った人も、いざ自分のことになったらおびえてしまう。

とにかく徹底的に話し合った。45回目の話し合いの時、
「みんなパチンコですったと思って、2万円出してくれ、それで300万円や」
と、リーダー格の人が言ってくれて、ようやく決まった。




羽咋市は能登半島の西の付け根。総人口は2万3657人。
その中のひとつ、神子原地区は中山間地域で169世帯527人。
標高150mから400mの急峻な傾斜地に点在する農村集落です。
山深い限界集落から、一人の男の知恵とがんばりから、
世界的なブランドが生まれようとしています。
著者は言います。
「成功と失敗は紙一重だけど、やるとやらないとでは雲泥の差が生じる」




いまは若くても♪
すぐに年をとる
夢は膨らむが
すぐに過去になる
いつか見つけてくれる君に
ぼくはメッセージを残したい
山深いこの地から♪


ダン・フォーゲルバーグでソング・フロム・ハーフマウンテン♪ 1974年の美曲です。
そういえば今年イリノイ州は、8月13日をダン・フォーゲルバーグ・デイとすることを、
議会で決めました。あと1か月でダンフォーゲルバーグデイです。祝。




Promises

Promises

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Special Product
  • 発売日: 2015/05/19
  • メディア: CD



関連図書:最近のドラマ&映画の原作関連

【赤めだか/立川談春/2008年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-02-14

【上流階級 富久丸百貨店外商部/高殿円/13年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-12-06

【吉田松陰「留魂録」/2014年9月初版・原文は1859年脱稿/吉田松陰・解説城島明彦】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-11-25

【完全なるチェス/フランクブレイディー/13年2月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-04-13


(広告)




nice!(27)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 27

コメント 8

DEBDYLAN

ダン・フォーゲルバーグ・デイ!!
粋な計らいですね♪

by DEBDYLAN (2015-07-14 23:02) 

heroherosr

日蓮宗でもそんな昔から世襲をしているんですね、妻帯して子供を作ることができたのは浄土新宗だけかと思っていました。
by heroherosr (2015-07-15 17:35) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
なぜ今年にそんなこと決めたのでしょう。
そこが謎です。本物だったという評価なんでしょう[__犬]
by don (2015-07-16 12:44) 

don

heroherosrさんこんにちは~
政治家の世襲はどうかと思いますが、
お坊さんの世襲はありだと思ってます[__犬]
by don (2015-07-16 12:46) 

song4u

すごいお話ですね。
これだけの成功(成果)が、よりによって、役所の中で得られた!
というのが何よりも凄いことだと感じました。
とは言え、役所のシステムが取るに足らないとは思いませんよ。
善し悪しというよりも、タイミングとケースバイケース。
ぼくはそう思いますけどね。

ところでdonさん、大阪は11号の影響はどうですか?
ぼくは今日、徳島に行ってたんですが、さすがに海は大シケでした。
風も凄いし、時折降る大粒の雨は叩きつけるようだったし。
明日は電車動かず・休みかなあ?・・・なんて考えてちゃ駄目ですよ。
そう思った時に限って、不幸にも電車はちゃんと来るんだから。
世の中って、そんなモンですよね♪
by song4u (2015-07-16 21:57) 

don

song4u さんこんばんは~
今は市役所の接客も素晴らしいです。
役所=悪ではないと思います。
とはいえ、民間と比べたらチャレンジしない。それはしようがない。
チャレンジングな著者からすると、歯がゆかったのだと思います。

こちらは台風の風がゴーゴーいってます。
家のゴールドクレストが倒れそうで、怖いです。
がんばれゴールドクレスト。

明日は通勤時間帯に電車[__電車]が動くかなぁ・・
とはいえ、遅れてでも行かないと色々あるので。
そろそろ室戸上陸ですね[__台風]

by don (2015-07-16 22:21) 

desidesi

あら、ダン・フォーゲルバーグ・デイって、
うちの長男の誕生日と一緒だ〜♪ (๑◔‿◔๑)
by desidesi (2015-07-17 18:09) 

don

desidesi さんこんちは~
ということは、ダンフォーゲルバーグと同じ誕生日です。
これも何かの縁。一度アルバム聞かれてみては[__犬]
by don (2015-07-18 11:22) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました