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【フィリピンパブ嬢の社会学】要約まとめ [本/ルポ社会]


フィリピンパブ嬢の社会学 (新潮新書)

フィリピンパブ嬢の社会学 (新潮新書)

  • 作者: 中島 弘象
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/02/16
  • メディア: 新書


【フィリピンパブ嬢の社会学/中島弘象/17年2月初版】


一時期フィリピンバーによく通ってました。
日本人のいるふつうのスナックやラウンジより、安価で楽しいから。
もちろん社用です。クラブラウンジ系は自腹で行くには高い。

当時カタコトで事情を聴いてると、
たいていの女の子は3~4カ月でフィリピンに帰国。しばらくしてまた日本にやって来る。
ローテーションです。つぎに行く場所はどこかわからないと。
フィリピンバーって、全国津々浦々にあった。

ある時期からフィリピンバーが廃れました。
何が起こったんだ。こんなに楽しい場所なのに。

コリアンバーはアグレッシブなんですが、フィリピンバーはおおらかでした。
ガンガン営業の電話もかかってこないし。なんか法律が変わったとは聞いてましたが。
本書読んで再認識しました。

2015年時点で、中長期に日本に滞在してるフィリピン人は22万4048人。
在籍するすべての外国人数が217万2892人だから、フィリピン人は約1割。
そのうち在留資格を持つフィリピン人は11万8132人で、その75%は女性。


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本書はとても面白い。
私小説のようで、社会学でもある。
ミイラ取りがミイラになった。

著者は大学で国際政治のゼミに入った。
そこで「在日フィリピン女性の生活」をテーマにする。
フィリピンパブを研究するうちに、ある若いパブ嬢と付き合うようになる。

学者の研究じゃないんです。
すべて経験談です。ヤクザと対峙したり、フィリピンの家族に会いに行ったり、
交際について著者の家族に猛反対されたり。結局著者はそのパブ嬢と・・・
著者が一生に一冊だけ書ける本。



・なぜフィリピンパブは2000年代に廃れたのか?
・いま若いフィリピン人女性は、どうやって日本に来てるのか?
・なぜフィリピン女性は日本に来るのか?そして日本で逃げないのか?

上記について、読書メモを。



なぜフィリピンパブは2000年代に廃れたのか?


1980年代、多くのフィリピン女性が日本に来るようになった。
興行ビザでダンサーや歌手として来たが、実際はホステスとして働かされた。
2004年には、最高の8万2741人が興行ビザで来日した。

2004年米国務省は、興行ビザが人身売買の温床になっていると指摘。
あわてた日本政府は2005年3月、興行ビザ発給要件の、
「外国の国もしくは地方公共団体、またはこれらに準ずる公私の機関が、
認定した資格を有すること」という規定を排除した。
これで興行ビザでのフィリピンからの出稼ぎはハードルが高くなった。

興業ビザが規制されたので、今フィリピンパブで働くホステスの多くは、規制前に入国し、
その後日本人男性と結婚して、在留資格を手に入れたフィリピン人女性がほとんど。

ホステスの循環ができなくなったため、現在フィリピンパブで働くホステスは、
30代後半から40代が多い。水商売の女性は若いほど価値があり、
若い男性客は来なくなった。


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いま若いフィリピン人女性はどうやって日本に来てるか?


偽装結婚で来ている。
偽装結婚斡旋に重要なことは2つ。
元手の資金を用意できるか?偽装結婚の相手を準備できるか?

偽装結婚を成功させるには、
夫役の日本人男性を最低3回フィリピンに往復させる必要がある。
渡航費や結婚式やビザの申請代、住居費など、
1人ホステスをつくるには最低でも100万円かかる。

結婚相手の準備はさらに難しい。
戸籍に傷がつくため、普通の人間はまず引き受けない。
ホームレスは、住所、収入がなく、納税をしていなければビザが下りない。
弱みがあってカネが欲しい人を確保するしかない。

ホステスのマネージャーはヤクザが多い。
フィリピンで日本行きを希望する女性を探し契約する。非合法なので口約束。
「契約期間は3年、給料は月6万円、休みは月2回、タコ部屋住まい」
店がホステスに支払う給料はいったん彼らが受け取り、半分以上ピンハネして、
ホステスに渡す。だいたい40万円もらって30万ほどピンハネする。

5人管理していれば約150万円になる。そこからアパート代や、偽装結婚相手への報酬、
フィリピンへの航空券代など実費を引いて、実収は月に100万円。
マネージャーはたいていの場合、地元の暴力団に属している。
100万円のうちかなりの部分が、暴力団への上納金となる。




なぜフィリピン女性は日本に来るのか?そして逃げないのか?


フィリピン人の平均月収は約2万円。
仕事がなくとても貧しい。国民の1割が海外に出稼ぎに出ている。
出稼ぎ先からの外貨送金がフィリピンの消費を生みだし、経済を支えている。

産油国では建設労働者、運転手、メイドなどはほとんどフィリピン人。
日本ではパブのホステスが多い。

外国で働き口を見つけ、家族に送金できれば、フィリピンではそれが勝者。
送金があれば、メイドとして働く身分から、メイドを持つ身分に変わる。

カネを稼ぐのは日本で働く娘の役目。
彼女たちの送金が止まれば、家族は再び掘っ立て小屋の暮らしに戻ってしまう。

フィリピンでは国民の多くがカトリックで離婚できないので、簡単には結婚しない。
未婚率が高い。一方で妊娠してもカトリックは中絶できないから、未婚の母が多い。
結果、貧困が連鎖する。

なぜ日本で逃げないのか?
もし恋人ができて逃げたとしても、偽装結婚が解消できないため、
恋人と結婚することはできない。ビザが更新できない。
逃げたホステスには厳しい道しか残されてない。
だからマネージャーの言うとおりにするしかない。
タコ部屋での生活が貧しくても、ノルマやペナルティが厳しくても、
誰にも訴えることはできない。自分が偽装結婚という違法行為を犯してしまってるから。




フィリピンといえば、ジャーニーのピネダでしょうか。



それにしても、いいボーカル見つけましたよね。
アーネル・ピネダの身に起きた、ロック界のおとぎ話のような実話を追ったドキュメンタリー。

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またね♪

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