So-net無料ブログ作成

トラップ(音楽)とは?【USヒップホップの現在】要約まとめ [音楽]


ミュージックマガジン 2017年 08 月号

ミュージックマガジン 2017年 08 月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ミュージック・マガジン
  • 発売日: 2017/07/20
  • メディア: 雑誌


【USヒップホップの現在/ミュージックマガジン8月号】


ここ数年、一大ブームとなったトラップ。
もういろんな人が、サウスになってしまった。
趣味で毎週ビルボードアルバムチャート見てると、ラッパーばかりです。
とくに北米のドレイクの強さは異常。

むかしプリンスはどんどんアルバムを出したがりました。
でもレーベルからストップがかかった。あんまりバンバンだすと飽きられるし売れない。
ここで彼は葛藤して、独自の販売方法を確立していきます。

いまラッパーたちは、毎年のようにフルアルバムを出してる。
チャンスザラッパーなんかは、レーベルの争奪戦があったけど、
どこも断ってタダで音楽を配信してる。ライブというか商標で儲けるというか。

米経済誌のフォーブズがヒップ・ホップ・アーティストの稼ぎ高ベスト20を発表。
以下がそのうちのベスト10。期間は2016年7月から2017年6月までの1年間。
1$110円換算。

1) ディディ(ショーン・コムズ) 143億円
2) ドレイク 103億円
3) ジェイ・Z 46億円
4) ドクター・ドレ 38億円
5) チャンス・ザ・ラッパー 36億円
6) ケンドリック・ラマー 33億円
7) ウィズ・カリファ 31億円
8) ピットブル 30億円
9) DJキャレド 26億円
10)フューチャー 25億円

チャンスすごいよね。音源タダで配信して1年でこんだけ稼ぐんやから・・
1位の人はラッパーというより、もはや実業家。

まあ英語は第一言語4億人、第二言語4億人、話せる人が8億人なので(合計16億人)、
単純に日本の10倍以上のマーケットがあって恵まれています。
音楽だけでなく、ライターもそうなんでしょうけど。


トラップ、サウス、ヒップホップ。
ぼくにとっては新世界。だから最近ちょっと調べてる。
聴くだけじゃなく、すこしは言語化したいので。

最新情報は、単行本より雑誌が早い。
ミュージックマガジンの特集から、要約読書メモを以下に。


▼広告▼





トラップ・ミュージックとは何か?


トラップとはヒップホップのサブジャンル。
アトランタに代表されるアメリカ南部(サウス)で生きる男のブルースであり、
普遍的なポップミュージックの役目も担っている。

もともとトラップとはジョージア州アトランタにおいて、
ドラッグの売人、ドラッグを売買する場所、ドラッグを売ってカネを稼ぐことを指す隠語。

トラップが1つのジャンルとして大きく認知されるようになったのは、00年代になってから。
03年アトランタのTIが「トラップ・ミュージック」をリリースする。
トラップハウスで稼ぎながらクールにラップをキメて、自らをサウスのキングだという。
その後アトランタラッパーたちが次々とヒットを飛ばす。

彼らがヒットを放つことと並行して、サウンドの特徴も出来上っていった。
通常の2~3倍の速さで鳴るハイハット(チキチキ)や強調されたヘヴィなドラム。
派手なシンセ、遅めのテンポ。

やってる本人はイケイケのものを作ってるつもりなのに、
部外者には暗くて、内省的なものに聞こえちゃう。
閑散とした盆踊りに迷い込んだ気にさせられる。閉塞感がすごい。

トラップビートを量産するビートメイカーも名をあげる。ゼイトーヴェンやレックス・ルガー。
10年代に入ってからはサウスサイド、メトロブーミン、TM88、ソニー・デジタルたち。
10年代からの若き担い手こそ、今のブームを作りだしている旬なビートメイカー。
彼らはアトランタを拠点に活動する。

なかでもズバ抜けているのがマイク・ウィル。
13年にリアーナをプロデュース、マイリーサイラスも手掛ける。
ポップディーバでさえアトランタ産のトラップに乗せてリスナーを躍らせる。
ビヨンセが16年のスーパーボウルで披露したFormationも彼のビート。

全米でムーブメントになったマネキンチャレンジ。
テーマ曲のブラックビートルズもマイク・ウィルの手による。
ヒラリークリントンや、本家のポールマッカートニーまでが彼らの楽曲に合わせてチャレンジ。

こうしてアトランタのトラップはどんどんビルボードの上位に送り込まれ、
カニエやドレイクなどのサウス以外のスターラッパーもこぞって南部産のビートを欲しがった。

17年に入ってもミーゴス、フューチャーと快進撃は続く。
フューチャーは2週連続で自身の異なるアルバムがビルボード1位を獲得した、
史上初のアーティストとなる。

最近ではリル・ヨッティによってバブルガム・トラップという新ジャンルも確立された。
よりポップで、ファンタジーめいた内容のラップ。

トラップのメッカ、アトランタ。
ここは全米でも所得の差、貧富の差が激しいことで知られる。
そのギャップは13年、14年と連続してワースト1位になったほど。
金持ちとビンボーがはっきり分かれ、肌の色でも分離される。
彼らにとって身近な成功への道は、イリーガルなものを売りながら日銭を稼ぐこと。
そしてキャッチ―なラップヒットを産み、一獲千金のチャンスを狙う。
その魅力の根源には、ブルースにも似た精神性が宿る。




ケンドリックのA&R力


ケンドリックはラッパーとして一流だけど、実はA&R力が優れてる。
1stがサウスで、2ndでサウスのビートをやめた。
3rdでマイクウィルでもう1回サウスに戻した。
A&R的なセンスが働いて、ちょっとU2呼んじゃった。
U2が入ることで台無しになるかと思ったらならなかった。ぜんぜんボノ節じゃない。

ケンドリック=ショートケーキのイチゴ論。
ヒップホップをケーキとすると、ケンドリックは頂点に乗ってるイチゴで。
それは素晴らしいものだけど、イチゴだけでこれがケーキだと言われても困るという話。
スポンジの部分はアトランタ。

ケンドリックのマッド・シティ♪  狂った警官を告発する詩。和訳付き。
もうね、歌詞がロックすぎて、チャラいバックバンドはいらない。




カニエウェスト工房


最近もやっぱり面白い人。
もう自分では詩も書いてない、音も作ってないというすごい人。
工業製品みたいな、カニエウェスト工房。カニエウェストというブランドを持ってる人。
専属デザイナーがたくさんいる。ソングライティングリストみると20人もいる。
日本のマンガ家に近い。さいとうたかおプロダクションとか。目に瞳だけ入れるとか。

エミネム以降ではもっともロックファンに愛されたラッパー。
じつはものすごくアウトソーシングしてる事実は、あまり知られてない。

カニエの3億回弱再生のストロンガー♪ カニエというよりダフトパンク。





さいきんのジェイZ


新譜が出た。
「ブループリント」みたいなのをやると、おっさん扱いされるからものすごく考えて作ってる。
お母さんがレズビアンだったと告白してて。
フランクオーシャンのカミングアウトのとき、なぜ即支持を表明したか謎が解けた。

不倫の件もビヨンセに謝った。
謝って、俺はもう少しでハル・ベリーと別れたエリック・ベネイになるとこだったと言って。
いまエリック・ベネイが怒ってる。とんでもない流れ弾。

エリック・ベネイはプリンスの元奥さんと再婚して、キャリアがまた上向いてるのに、
そんなこといわれたら腹立つ。

たぶん前後の「アウェイ」と「セイ」の韻を踏むために「ベネイ」って名前をだした。
しかしジェイZは影響力がある。
60年代生まれでトップに留まってるのは、ジェイZしかいない。
70年代前半も、シーンから追い出されてるのに。

とくに巧くはないけど、何をやってもジェイZになる。
演技は巧くないけど、なにをやらせてもキムタクみたいな。

ベッキーと浮気したジェイZ。ビヨンセに「sorry」でディスられた。
ジェイZは17年7月27日公開のキル・ジェイZで、上記バースで釈明。
さらに、自分が一番悪い♪ 世界で一番クールな女の子を逃すとこだった♪
まあ・・浮気がばれたら、平謝りしかないでしょ・・しかしビヨンセは許すのかな。



▼広告▼





ドレイクは底辺からじゃない


ドレイクはトロントというより、子役上りということが一番重要。
ビバリーヒルズ高校白書みたいなドラマで、体育会系の高校生役をやってた。
ドレイクのプロデューサーのノア40も子役だった。2人ともジューイッシュ。
ぜんぜんStarted from the bottomじゃない。

スポティファイに最適化された音かも。
80年代の音はカセットに最適化されてた。
スカスカでエコー感のある音楽って、カセットでコンプかけて再生すると際立つ。
ベリーゴーディみたいに、わざとスポティファイで再生して「いいな」とかはやってないけど。

ドレイクとトロントってアトランタみたいな地元感がない。
むかしは地元の仲間をフックアップするやり方が主流だったけど、
それをやるとスタイルが似てしまい、縮小再生産のラッパーしかいなくなる。
徒弟制の限界が出てくる。

それである時期からリル・ウェインが、カネで自分にない才能を手下に引き入れた。
カナダから女子ウケのいいドレイク呼んだり、ニッキーミナージュ呼んだり。

やっぱStarted from the bottom♪ 個人的には一番サウスっぽいイメージ。





チャンスザラッパーのビジネスモデル


ストリーミング限定作品ではじめてグラミー候補になった。
タダで音源を配って、ライブの宣伝にしてる。
Kポップとかもそうで、ユーチューブで人気を集めて東京ドームを埋めちゃう。
ビジネスモデルとしては近い。

日本だけが握手券とかやってるけど、
アメリカのヒップホップで握手券はできない。死人が出る。
ラッパーが何人も死んじゃう(笑)。恨みがあるやつとかビーフをやってる奴がくる。

やっぱ彼はこの歌かな。祖母を歌うクリスチャン・ラップ♪ 和訳付き。





フューチャー的なもの


ケンドリックがいてドレイクがいて。
ここ5年の中心はフューチャーかもしれない。
フューチャーというかフューチャー的なもの。
フューチャーが使ったトラックメイカーが売れる。トレンドセッターになってる。
ケンドリックもチャンスもカニエも個が立ってるけど、
フューチャーは個よりフューチャー的な何かが増殖してる。

リル・ヨッティとか。
あの髪にビーズとかしてる人たちは、みんなゆとりっぽい。
アメリカにゆとり世代はないけど。

次から次に髪の毛にビーズしてるのが出てくる。
なぜかギャルに近い色彩感覚をしてる。
アトランタは南部なのに非アーシ―な文化がアウトキャストの頃からあって。
アンドレ3000の変なセンスとか、エリカ・パドゥ曰く、あれはアトランタの男の美学。
ヤングサグの女装もそうだし傾奇者。


フューチャーで7月27日公開の、You Da Baddest ♪ ニッキー・ミナージュもいるよ。
ドレイク(30歳)はミナージュ(34歳)となら結婚してもいいそうです。



やっぱドレイクかなぁ。2016年ずっと売れてた作品。アマゾンプライムならタダで聴けます。

Views

Views

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Republic
  • 発売日: 2016/05/06
  • メディア: CD




今日発表された、17年9月9日付のUSビルボードアルバムチャート。
1位はめずらしくロックバンド。ブランド・ニューの8年ぶりの新作アルバムです。
有料ダウンロードとストリーミングのみの発売。CDはない。時代です。
さっそくユーチューブにフルアルバムがアップされてました。太っ腹ですね。英語圏だからできる。
フルアルバムがタダで聴ける時代⇒https://www.youtube.com/watch?v=NfWMqgm94bs
音楽を宣伝にしてライブと商標で儲ける。


(関連記事)
【ラップは何を映しているのか/大和田、磯部、吉田/17年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-06-27

【プリンス論/西寺郷太/15年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-12-01

【誰が音楽をタダにした?/スティーブン・ウィット/16年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18

日本の音楽業界はV字回復してた!~「ヒットの崩壊」より
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07


▼広告▼



nice!(11)  コメント(4) 
共通テーマ:音楽