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【ふたご/藤崎彩織】セカオワsaori私小説の感想 [本/文学芸術]


ふたご

ふたご

  • 作者: 藤崎 彩織(SEKAI NO OWARI)
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/28
  • メディア: 単行本


【ふたご/藤崎彩織/17年10月初版】


すごく面白い一冊。
直近の直木賞にノミネートされて。
それで読んでみようかなと。

読んでるあいだ、何度も泣きそうになった。
悲しい涙じゃなくて。暖かい感動系の涙。

「SEKAI NO OWARI」、お好きですか?
ポップなEDMというか。口あたりのいいダンスミュージックというか。
聴きやすいので、ここ数年では最も支持を集めた4人組バンドです。

最近では平昌五輪NHKテーマソングとか。
ジブリ(後継会社)新作の主題歌とか、「進撃の巨人」主題歌とか。
曲はたまってきたので、そろそろ「Tree」の次作が待たれます。

「SEKAI NO OWARI」は、ワンピースみたいな「仲間的な大家族」。
セカオワハウスに、バンドメンバーとか関係者が同居してる。
そこに多くの人があこがれてると思う。そういう関係性ってちょっと不思議。
メンバーの2人が結婚しても、セカオワハウスでの共同生活は続けてるみたい。

もちろん永遠はないし、こういう不安定なバランスが、いつまで続くかわからない。
だから多くの人は、このセカオワハウスという共同生活が長く続いてほしいと思ってる。
壮大な社会実験を、見守るような気持ちで。


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本書はSaoriの私小説です。
登場人物の名前を変えて、フィクションの形をとってますが、
そこに書かれてるのは「SEKAI NO OWARI」の創成期という神話。

彼女はFukaseのことが好きだったみたいです。
Fukaseは時々、セカオワハウスを出て交際してる女性のとこへ出かける。
それを笑顔で見送る。切なくて悲しくて、これを純愛と呼ばず何を純愛と呼ぶ。

人生でいちばんツライことは何でしょう?
ぼくは「三角関係」だと思います。あれはツライ。

夏目漱石の「こころ」。傑作です。
お嬢さんを、親友同士の「先生」と「K」が取り合う。
先生はKを出し抜きお嬢さんと結婚してしまう。Kは自殺する。
Kの遺書は先生を一切責めていない。先生も後年、Kへの懺悔から死ぬことを決意する。

みなさんは、三角関係とか片思いの経験はありますか?
好きな人の言葉で、心は大きく浮き沈みする。ちょっとしたことに一喜一憂。
セカオワが好きで、そういう恋愛経験のある人は、すごく共感できる一冊です。
逆に男子校とか出身で、そういう経験のない人は全くおもしろくないかも。共感できない。

2人の関係性は「ふたご」と表現されてます。言いえて妙。
14歳の初デートから、ずーっと一緒に言葉を紡いできた。
その関係性が、バンドのコアとなって芸術となる。

短期間で別れてしまう恋人たちより、より深くつながっている。
恋人ではないけど、ずっと昔から家族以上にお互いに依存していた。


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FukaseがアメリカからSaoriに電話してきて、
「もうだめだ。帰りたい」
「帰ってこないで」
電話口でパニック障害になり倒れる。

精神病院に入院する直前の起点も、Saoriの家を訪れたことから。

Fukaseの家族からすると、
彼が精神を病んでしまう局面にいつもSaoriがいる。
Saoriのせいじゃないんだけど。家族は引き離すべきと考える。

Saoriの母も、とりつかれたようにFukaseと、電話し続ける娘を心配する。

たしかにSaoriのいうとおり、恋人以上にお互いに依存してる。
深いところでつながっている「ふたご」みたい。


何も知らないで読むと、スリリングな展開です。
これが大船に乗ったように読めるのは、日本中が結末を知ってるから。
彼らの無鉄砲な計画は、近年の音楽シーンにない大成功を収める。

ときどき立ち止まって、ほっと一息つき、
面白さに体の奥から喜びが湧き上がってくる。おすすめの小説です。




SEKAI NO OWARIで、「Hey Ho」♪ 3月発売のライブDVDから。




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  • 出版社/メーカー: トイズファクトリー
  • メディア: DVD




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