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【精神病棟40年/時東一郎】書評と要約 [本/健康心理]






精神病棟40年 (宝島SUGOI文庫)

精神病棟40年 (宝島SUGOI文庫)

  • 作者: 時東 一郎
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/04/04
  • メディア: 文庫


【精神病棟40年/時東一郎/12年2月初版】
リアル人間失格。
著者の時東一郎(仮名)は16歳のときに統合失調症を発生して、以来44年間精神病棟にいます。
精神病棟にいても、つねに症状を発生してるわけではなくて、
まともな時とそうでないときが交互に訪れます。

ノンフィクションライターの織田淳太郎が、患者として入院した精神病院で知り合い、
この本が世に出ることになりました。織田氏の解説がところどころ入りますが、
ほとんどは著者の作品です。一生を精神病棟の中で過ごした著者の自叙伝であり、
貴重な記録だと思います。

みなさんは精神病院を訪問したことがありますでしょうか?
見た目は普通の病院なのですが、周りに人が少ない、窓に鉄格子がはめられている、
少し人里離れている、などの特異性があります。

ぼくは10年以上前に知り合いが入院し、数回見舞いにいきました。
あまりよい話ではないので、多くは述べませんが、
そのときなぜその人は精神病院に入らなければならなかったか、真剣に考えました。

精神疾患の境目はどこか、あなたは狂人だと言われる分け目は一体どこなのか?
図書館で関連の本を数冊読んで得た答は、
妄想、幻覚(幻視、幻聴など)をみるかどうかの一点でした。

たとえばうつ病と統合失調症(精神分裂症のこと)陰性の症状はほぼ同じですが、
そこに、被害妄想や幻視、幻聴などのどれかが加われば、精神疾患となり、
家族や周囲が見放せば精神病院行きとなります。

この本によると、著者はなんとか出れるように模範患者として振る舞い、
病状も安定していたそうですが、病院側の固定資産として扱われ、
そのチャンスは40年もの長きに渡ってなかったそうです。
保護者の問題もあったのでしょうね。


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<世界と日本の精神科病床>
現在世界が保有する精神科病床は約200万床といわれている。
その中で日本は35万床を保有。(入院者数は31万3千人)実に世界の6分の1である。

「日本だから精神異常者がとくに多い」という理屈は成り立つわけがなく、
世界的に見て異常な数字である。

なぜ日本だけが異常な数の病床を保有しているのか?
主因は民間精神病院の経営問題である。

日本の精神病院の9割は民間で占められている。
経営問題の元凶には「精神科特例」がある。
精神科の医師数は他科の3分の1でよいとする特例で、
そのかわり診療報酬は他科の3分の1から3分の2にすぎない。

そのため病床を埋めるべく、民間精神病院の患者の抱え込みが始まった。
経営維持のための入院者の「固定資産化」へのうねりである。

こんにち15万人から20万人いるとされる、
「入院治療の必要のない」長期入院者は、以上のような背景で量産されてきた。


p.s.この本の読後感はある意味爽やかです。保護者がいないと外に出れない著者は、
ルポライターの織田氏に連れられ、一生をかけて思っていた夢を達成します。
ぼくや、皆さんににとっては取るにたりないことです。
それでも幽閉されてるものからすれば、一生をかけた願いだったのです。
願いがかなってほんとに良かった。[ぴかぴか(新しい)]


幻覚系ソングといえば、ビートルズでLSDです。
イントロはハープシコードではなくてオルガンに細工をした音、ポールが弾いてます。
左奥でなる楽器はシタールではなくて、タンブーラです。
ポールのベースラインがとても印象的です。




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コメント 20

せいじ

何の為の精神病院なのか考えさせられますね…
by せいじ (2012-04-18 07:05) 

rtfk

そういう構造でしたか・・・色んな疑問や謎が解けました。
立地や雰囲気や勤務している人たち・・・なるほど。。。
ご紹介有難うございます。ぜひ読んでみましょう(^w^)

by rtfk (2012-04-18 08:21) 

yukky_z

お陰さまで、未だ お世話になったことはありませんが(^^;)、
昔 一度だけ、バイトで荷物を届けたことがありまして。
鉄格子と館内に響く奇声が強く印象に残ってます...
by yukky_z (2012-04-18 21:09) 

vega

私は子どもの頃から夢とか空想とか幻想とか、
現実と少し離れた世界ばかり思い描いていたような気がします。
一人で遊ぶのも大好きで、自分の世界に没頭していたようです。

好きな音楽を聴いているときも、いつも夢心地…。
世間で言う " 普通 " の精神状態ではないのかな…と…。

何が普通なのか…
誰にも決められないと思います。

by vega (2012-04-18 22:47) 

heroherosr

薬漬けにしてむしろ症状が悪くなって、ずっと入院しているケースが多いそうですね。
by heroherosr (2012-04-19 18:13) 

mignon

なるほどね。
心療内科という軽い感じの病院がふえはじめましたが、
日本の精神科の医療はまだまだなのですね。
このような病気の場合、完治したのかどうか難しいところですね。
by mignon (2012-04-19 21:07) 

don

せいじさんこんばんは!
既得権や金儲け主義が、いたるところにあるのが
日本の社会ですね。
by don (2012-04-19 22:05) 

don

rtfkさんこんばんは!
題名にはそそられますが、太宰はんの人間失格の
リアル版です。やっぱり重苦しいし、悲しい話です。
読むべき1冊とは言えないかもしれません。
もっとハッピーなものを読んだほうが気が晴れます^^
by don (2012-04-19 22:10) 

don

yukky_zさんこんばんは!
>鉄格子と館内に響く奇声
そこは記憶に残りますよね。やっぱり。

by don (2012-04-19 22:12) 

don

vegaさんこんばんは!
「じつは普通が一番むつかしい」のでしょうね。
人はみな、なくて七癖とか言いますしね。

結構紙一重の人も多いと思います。
酒飲んだときの自分も含めて。
by don (2012-04-19 22:15) 

don

heherosrさんこんばんは!
この本の著者も薬漬けに言及してました。
なぜか退院間近に、薬を変えられて悪化したり。

薬はある意味毒なので、飲まないほうがいいのでしょう。
ぼくも極力薬は飲まないようにしています。
ウイルスは緑茶で、ストレスは酒で、散らしてます^^
by don (2012-04-19 22:18) 

don

mignonさんこんばんは!
完治かどうかの判断は難しいですよね。
なおったと思っても、なにかをきっかけに発症するかも
しれないし。フィリップマーロウじゃないけど、
「タフでないと生きていけない」ですね。。
by don (2012-04-19 22:27) 

みかん

なにが正常で、なにがそうではないか・・・
とても曖昧だと感じます。 精神病棟を訪れたことはないけれど、
昔の映画で「カッコーの巣の上で」という映画がとても印象に
残っています。(ジャック・ニコルソン主演だったと思います)

[__猫]
by みかん (2012-04-20 10:07) 

don

みかんさんこんにちは!
見たような、見てないような、記憶に残ってないですねぇ。
「恋愛小説家」という映画でも、彼は潔癖症の主人公を
演じてますが、たしかに何が正常かどうかわからないです。

鍵を閉めたか、ストーブ消したか、家に戻って確認したり、
手を人並み以上に洗ったり、いわゆる脅迫観念症みたいな
ものは、誰しもあったりすると思います。
by don (2012-04-21 12:27) 

青山実花

16歳から44年間も病院に・・・。
考えさせられますね。
日本の精神病院の実態も初めて知りました。

興味深い本ですね。
図書館に予約します。
by 青山実花 (2012-04-22 00:06) 

seawind335

こんなところにもある種の利権ですか・・・・
by seawind335 (2012-04-22 01:16) 

don

青山実花さんこんにちは!
じつに興味深い本です。ぼくも本屋でタイトルを見た時点で、
すぐに図書館に購入申請しました^^


by don (2012-04-22 11:45) 

don

seawind335さんこんにちは!
そ~なんですよ、こんなところにも利権です。
マルクスの唯物史観、経済が土台となって歴史を動かすが、
身に沁みてくるきょうこの頃です^^
by don (2012-04-22 11:48) 

伊閣蝶

精神病院を扱った本としては、大熊一夫氏の「ルポ精神病棟」を思い出します。
この本でも、精神病院の経営は、やりようによっては「儲かる」ため、患者の囲い込みをするという実態が告発されていました。
私も精神病院を訪ねたことが何度かありますが、やはりかなり異質なものを感じたことを思い出します。
しかし、16歳の時から44年間、ずっと精神病院にいるという著者の書くこの本の凄まじさは、こうして概要を拝見するだけでもつたわってきます。
是非とも読んでみたいと思いました。
by 伊閣蝶 (2012-04-23 18:16) 

don

伊閣蝶さんこんばんは!
大熊一夫氏の「ルポ精神病棟」は読んだことがないのですが、
81年ということは、30年以上前のルポですね。

患者になりすまして入院して書いた告発本と、実際の44年間
入院した患者の書いたものとの違いはありますが。

しかし今の時代、やりようによっては儲かる商売が激減しています[__ふらふら]
by don (2012-04-28 21:21) 

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