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われ敗れたり/米長邦雄 [本/ルポ社会]






われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る

  • 作者: 米長 邦雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/02
  • メディア: 単行本


<われ敗れたり/米長邦雄/12年2月初版>
「この本は、私の将棋界への遺言書になるかもしれません。
どうかこの本を、 友人、知人、将棋を知らない人へ勧めていただければ幸いです。」
2009年に前立腺癌をわずらった、68歳の将棋連盟会長の米長永世棋聖の1冊。
名人を含むタイトル獲得通算19期は歴代5位。2003年に引退。

12年1月14日の日本中が注目した戦い。
ニコニコ動画では百万人以上が視聴したコンピューター将棋との一戦です。
負けて美しい、負けたからこそ読んでみたい本です。

米長棋聖は「もし許されるのであればもう一度・・」、次は対局料はゼロで、
負ければ罰金百万円払うという条件を谷川将棋連盟専務に申し出ているようです。

ここまでのコンピューターvs人間の戦いは、2007年のボナンザvs渡辺竜王、
これは渡辺竜王の辛勝です。つぎは2010年のあから2010vs清水女流王将。
これはあから2010が勝ちます。

この時点でのコンピューターvs人間は、将棋人口5百万人のうち、
最高レベルのコンピューターに勝てるのは、現役プロ棋士の160人程度とのことでしたが、
米長棋聖によると、今はその半分程度ではないかと。羽生本の過去記事です↓
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2011-02-06

今回のコンピューターは、コンピューター将棋世界選手権で優勝したボンクラーズ。
1秒間に1800万手を読むソフトだそうです。オープンにされたボナンザをベースに開発され、
2007年のボナンザより角一枚は強くなっているとのこと。

開発者は富士通の関連会社に勤務する技術者の伊藤さん。
今回のコンピューターvs米長永世棋聖との対戦を機に富士通本社の社員となり、
富士通グループ全社でこの棋戦をバックアップする体制を取ったとのこと。
富士通も本気になり、世界最速の称号を得たコンピューター「京」の投入も検討されたそうです^^


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まず敵を知れということで、米長氏は市販ソフトで一番強いと言われている激指を購入。
早指しでは「え、こんなに強いの」というレベルだったと。

次に年に366日飲むという酒を断ち、ひたすら詰め将棋を解いた。
さらに市販ではないボンクラーズの簡易版(1秒間に170万手読む)を、
自宅のパソコンを高性能なものに新調し伊藤氏にセットしてもらい、ひたすら指した。

一手30秒の早指しなら全く勝てない、持ち時間3時間なら1勝2敗というレベル。
現役のプロを呼んでも、早指しでやらすとほとんどが勝てなかったそうです。

ここに至り、自分よりコンピューターのほうが強いことを認め、弱点を探します。
ボナンザの開発者、保木氏に会いアドバイスを求めます。

そこで生まれたのが、後手番初手6二玉です。王様を初手に飛車のほうへ寄せる一手です。
人間相手だと悪手なのですが、コンピューターが持つすべての序盤データを無効化する一手だそうです。
そんな定跡がないから。

優勢に進め大いに盛り上がった米長永世棋聖vsコンピューターですが、
負けたからこそ、次は人間側が真剣に挑みます。
来年またニコニコ動画で人間vsコンピューターの5対5の同時決戦を行うようです。
まだ羽生や渡辺のようなタイトルホルダーは出ないようですが、
新鋭のプロ棋士がどこまでコンピューターに挑めるか、楽しみができました。

ちなみにこの話を夕食時に息子にすると、「囲碁のコンピューターは弱くて、
人間がまだ圧倒的やで」とのこと。ひとつ子供に教えられうれしかったです。


その他に目に付いた部分は以下。


<先手の勝率>
実力が互角なら先手の勝率は52~53%。米長氏は先手を祈ったが後手となった。



<誰が前に座って指すか>
思考プロセスの可視化の飯田教授によると、米長の要求した相手なら勝率が30%程度よくなるとのこと。
米長の条件は以下
①将棋が強いこと
②対局時に真剣になること
③目障りにならなくて、私の気を散らさないこと
④私を尊敬してくれてること



<運>
米長は現役時代から、自分の運気が良くなる人としかつきあわなかった。
自分の運気を下げる人は、米長が負けたら喜ぶ人。
自分の運気を上げる人は、米長が勝てば喜ぶ人。
上記の④が一番大事で、それはイエスマンとは違い、自分を尊敬してくれてる人とつきあうことが、
自分の運気をもっとも高めてくれる。



<奥さんから言われたあなたは勝てません>
奥さんに勝てるかなと聞くと(将棋のことをほとんど知らない)、あなたは勝てませんという。
理由を聞くと、全盛期のあなたとは決定的な違いがある。あなたにはいま若い愛人がいない。
それでは勝負に勝てませんと。




The Beatles - I'm A Loser (take 3)




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コメント 16

seawind335

チェストと異なり、獲った駒をもう一度使える将棋が、囲碁よりコンピューターに弱いとは、意外でしたね・・・・・

しかし、棋士の奥さんは大物ですね!(爆)
by seawind335 (2012-04-28 23:17) 

yukky_z

これって結構 話題になりましたよね。彼はコンピューターに
負けたのが よほど悔しかったんでしょうね(当たり前か)^^;
だから是非、リベンジを果たして欲しいですなぁ^^v
by yukky_z (2012-04-28 23:59) 

mignon

>>④が一番大事で、それはイエスマンとは違い、自分を尊敬してくれてる人
とつきあうことが、自分の運気をもっとも高めてくれる

なるほどね。そうしてみます。尊敬してくれる人居るのかなあ。

>>若い愛人がいない。それでは勝負に勝てませんと。
いかした奥様ですね。私も主人にそれくらいのこ言えるようでないと。


by mignon (2012-04-29 00:39) 

rtfk

私は囲碁将棋の類をまったくやりませんが
ひとつの人生観として読むのはよさそうです^^)
息子たちは将棋が大好きなので別の角度から
読みそうですが・・・それがまっとうかな?(^w^)

by rtfk (2012-04-29 04:26) 

don

seawind335さんこんにちは!
コンピューターが強い順に、チェス>将棋>囲碁とのこと。
囲碁はどちらが優勢かわかりにくいので、コンピューターが
容易に判断できないとの理由だそうです。

将棋もむかしは、おっしゃるように取った駒を使えるので、
コンピューターが判断できないから、チェスみたいにならない、
と言われてましたから、いずれ囲碁も人間が勝てなくなる日が
くるのだと思います。
by don (2012-04-29 18:57) 

don

yukky_zさんこんにちは!
結構話題になってましたよね。
だから負けても本が出せるという、商売になってます[__犬]
勝ってたら、本は売れないでしょうね^^
by don (2012-04-29 19:00) 

don

mignonさんこんにちは!
たしかに。。mignonさんの言われるように、自分のこと
尊敬してくれる人なんか、あんまりいないですよね。

まず尊敬される人になるところから、はじめないと^^
by don (2012-04-29 19:03) 

don

rtfkさんこんにちは!
後半の4分の1くらいは、棋譜と棋聖の解説つきです。
将棋好きには、そこが面白いのでしょうね。

ぼくはレベルが違いすぎるので、そこの部分は読み飛ばしました^^;
by don (2012-04-29 19:06) 

song4u

米長さんは考えすぎるタイプで、相手が人間であればつられて相手も
考えてくれるから良いのですが、機械が相手じゃその実力は発揮しにくい
のではないか・・・と、ぼくは思っていました。
結果は案の定で、自ら負けに行ったような勝負に見えました。(笑)

将棋の対戦:人間vs機械(計算機)。
どう考えれば良いのか、非常に難しい問題ですね。
ぼくの個人的な考えを言えば、この対戦にはあまり意義を感じません。
「詰将棋」と「将棋」が異なるように、人間同士の将棋と、人間対機械の
将棋は世界が違うと思うのです。

100%ロジカルなプロセスだけを抽出して結果を求めるのであれば、
それは計算機の領域に他ならないだろうと思います。
計算機は全部読み切りだから、よく言われる“指運”もありませんしね。
そんなのが果たして将棋なのかどうか?

例えば麻雀とかだったら、計算機を人間に見立ててメンバの中に入れても、
それなりに面白いゲームになると思うんですけどね。
将棋はちょっと、いや、かなり違うんじゃないかというのが、誰も聞いてない
ぼくの見解なんだけどなあ。(笑)
by song4u (2012-04-29 23:13) 

don

song4uさんおはようございます。
おっしゃるように将棋を勝負と考えると、機械との対戦では
意義はないと思います。なにより大山ファンなんかは、そんな
のは将棋じゃあない!と言い切るでしょうね(笑)

羽生世代より以下は、人間がパソコン化して、よりパソコン的な
人間が将棋が強くなったと感じます。とにかく将棋の勉強(パソコン)
ばかりやって、飲みにも、女にも走らない。(勝手な思い込みですが)

世間の目が今回の件でこれほど釘付けになったのは、機械が
人間の叡智を追い越すのじゃあないかという、恐怖からだと思います。

そういえば4月29日の産経新聞では紙面の4分の1を使って
3面に大見出しで、ソフト劇的進化、人間「降参」危機、とやってました。
なぜこの日に、?ネタのない日だったのでしょうか(笑)
電子版もあるのでご参考まで↓
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/120428/ent12042821230023-n1.htm

記事によると、1年前にはコンピューターは人間に追いつけないと、
余裕のコメントをしていた羽生も、チェスに続いて将棋でも勝てなくなる、
と危機感を募らせています。

また将棋と囲碁の違いにもふれており、局面の変化数は
将棋:10の220乗
囲碁:10の360乗
といわれていて、囲碁を読むのは機械でも現状は困難だそうです。

機械側の今後の目標は、まず将棋のトップ棋士に勝ち、次は囲碁に
も挑みたいとのこと。時間の問題なんでしょうね。そのうち人間の
感情の変化まで読む、SFチックなソフトがでてくるかもしれませんね。

その前に、同時通訳ソフトの使えるやつを何とかしてほしい。
日本人が英語の勉強に向けてる、無駄な時間がなくなるから(笑)


by don (2012-04-30 10:51) 

heroherosr

勝負事に生きる人ならではですが、恐るべき負けず嫌いですね。
すぐあきらめてしまう性質の私は爪の垢をもらいたいですよ。
by heroherosr (2012-04-30 11:04) 

伊閣蝶

米長さんのチャレンジ精神には、正に脱帽ですね。
次の対局が楽しみです。
しかし、奥様の言葉、これはすごい!
正にこの夫にしてこの妻あり、ということでしょうか。
by 伊閣蝶 (2012-04-30 16:55) 

みかん

donさん、おはようございます^^
連休、エンジョイされてますか[__猫]?
奥様のお言葉、器の大きい女性像を感じさせますねー。

自分を尊敬してくれる人と付き合うことが運気を上げる、
かぁ~。 なかなか尊敬されることがないけれど、たしかに、
策略なく自分のことを素直に褒めてくれたりする人って居心地いいですね[__喫茶店]。
by みかん (2012-05-01 07:13) 

don

heroherosrさんこんにちは!
たぶん負けず嫌いじゃないと、将棋で強くならないでしょう。
ということは将棋連盟は負けず嫌いの集まりなんでしょうね^^
by don (2012-05-01 12:46) 

don

伊閣蝶さんこんにちは!
怖い言葉ですよね。
ぼくなんかそんなこと言われたら、震え上がるでしょうね^^
by don (2012-05-01 12:53) 

don

みかんさんこんにちは!
今回はまとまった連休です。たいした楽しみもないですが、
犬の散歩(車に乗せて風光明媚なところへ)、読書、酒をのむ
ぐらいなものです。枯れてます^^

そ~なんですよね。居心地のいい人になりたいですよね。
そうすれば、たくさんの人に囲まれて、楽しい日々が過ごせる
と思います。それも無理してじゃなくて、自然体で[__犬]

by don (2012-05-01 13:02) 

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