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売れる作家の全技術/大沢在昌 [本/文学芸術]






小説講座 売れる作家の全技術  デビューだけで満足してはいけない

小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/01
  • メディア: 単行本


【売れる作家の全技術/大沢在昌/12年7月初版】
「作家は、なることよりもあり続けることのほうがずっと難しい」
新宿鮫が累計600万部売れた大沢氏が、この本で何度も語ってることです。

編集者からの「大沢さんの小説のテクニックを誌面で伝授しませんか」という要請に応えた1冊。
角川書店が生徒をつのり、選考で選ばれた12人に1年間で10回の講義を行なった記録です。
講義の内容は、文章を書くうえで必要なテクニカルなものがたくさんあります。

・1人称の書き方を習得する
・強いキャラクターの作り方
・神視点と視点の乱れの違い
・プロットの作り方
・作品内のタイムテーブルはつくるべきか
・小説の「トゲ」とは何か
・もう一ひねりとは何か
・古典の引用で注意すべきこと
・複数の視点人物を登場させるには
・文章にリズムをもたせろ
・日本文学と海外文学の違い
・推敲の方法
・お気に入りの長編小説を30pごとに分解してみる
・読者はM、作者はS
・描写に困ったときの虎の巻

村上春樹が文壇村が大嫌いで一匹狼なのに比べて、
北方謙三や大沢氏はとにかく文壇村の中心人物という印象が強いです。
最近では「下町ロケット」の池井戸氏の直木賞受賞の飲み会が、文藝春秋に出ていました。
あ~こういうところには村上春樹は行きたくないんだろうなぁと妙に納得しました。

大沢氏が言うには、パーティには積極的に参加して、
出版関係者やいろんな作家と知り合いになるべし。自分の顔も売れる。
「作家のライバル同士が実は一番の友人になれる」と。
ぼくも酒が好きだし、積極的に顔を売るほうが得策と考えるタイプです。
だからこそか、本は村上春樹のほうが好きです。やっぱり自分にないストイックさに惹かれます。

豪快な人なんでしょうね。ひとつの出版社で部署ごと(文庫、雑誌、単行本)に担当者がついて、
同じ日に「大沢先生接待」の伝票が複数経理にまわって、
「どれが本物だ」とかいう事件も起こったそうです(笑)

以下に読書メモを。出版事情がよくわかります。

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<職業としての作家>
日本に小説家は何人いるのか。仮に500人としてその8割は年収500万円以下。
なかには200万円以下の人もいる。たとえば新人で長編小説を半年かけて書き上げる。
初版部数は4000部、定価が1800円、印税は10%として収入は72万円になる。
半年かけて72万円。コンビニのアルバイトより低い金額。

30年前に比べて今の出版市場は3分の1(ネット影響か)くらいに縮小している。
つまり生き残る確率も入るお金も3分の1だ。

出版社側はどうか。だいたい定価の65%が出版社の取り分で、35%が取次ぎと書店の取り分になる。
つまり1冊1800円で初版4000部の本をつくると65%の468万円が出版社の取り分で、
これには作家の印税72万円、制作費、宣伝費、社員の給料、紙・印刷・製本代、
全部が含まれている。4000部がすべて売れても出版社はほとんど儲からない。

初版が売れて儲けが出るには4万部ぐらい刷らなければダメ。
いま日本で単行本を初版4万部刷れる作家は20人ぐらい。直木賞受賞作家でも初版1万部程度。

ここまではハードカバーの話。今は時代小説なんかは文庫書下ろし全盛の時代なのでさらに厳しい。
文庫1冊600円。初版1万部として印税60万円。いまは文庫書下ろしの作家がいかに多いか。
単行本の仕事も雑誌連載の仕事も依頼が来ないから。

雑誌連載の原稿料は400字詰め原稿用紙1枚3000円ぐらい。
連載小説を1冊分400枚執筆した段階で120万円の出費を出版社はしている。
だからこの元を取り返せそうもない作家には、連載は絶対に頼まない。
「書き下ろしなら出してあげますよ。それも文庫書き下ろしです。
60万円にしかならないけど、それでよかったら原稿を持ってきてください」

本を作る仕事は、ほとんどが元の取れない先行投資。
初版4000部のうち800冊しか売れない本というのはゴロゴロある。ほとんど大損。
ではなぜ出版社は本を作るのか。1人でも売れる人が出てくれば元が取れるから。
50人の新人作家に書き下ろし頼んで、そのうち1人が大きくなれば、
あとの49人はダメでも仕方ないというスタンス。

そんな文庫書き下ろしから始めて今もっとも稼いでいるのが、時代小説家の佐伯泰英。
初版20万部、年間10冊書いてるから初版と重版の印税だけで年間2億4000万円くらい。
そういう生活をしてる作家も確かにいる。でもそれは東野圭吾か佐伯泰英かという話だ。



<作家の読書量>
大沢在昌の場合は、高校2年のときに1年で1000冊読んだ。
毎日3冊ずつ図書館の端から全部読んだ。
23歳で作家デビューするまでも毎年500~1000冊読んだ。

ミステリーを書こうとする人には、基礎知識は絶対に必要。
古今東西の名作、古典は一通り読んでいなければいけない。
「読んでないからパクリじゃない」という理屈は通用しない。
読んでないという時点でもうアウト。
最低でも1000冊は読んでないと、ミステリーの賞に応募することはできない。
ミステリーは基礎知識がない人間は書いてはいけないジャンル。

作家になるということは、コップの水。
コップの中に読書量がどんどん溜まっていって、最後にあふれ出す。
それが書きたいという情熱になる。

p.s.そういえば、孫正義も3年の入院生活で3000冊の本を読んだと言ってましたが、
圧倒的にコミュニケーションスキルの高い人は、たしかに本をたくさん読んでます。
この本を読めばよくわかりますが、大沢氏も生徒の難しい質問に、
最適な言葉を選んでわかりやすく説明しています。



<漢字とひらがな>
漢字を使うことによって小説の雰囲気が変わってくる。
赤川次郎の小説が漢字だらけになったり、
京極夏彦の小説がひらがなだらけになったら世界観がまるでかわる。

物を書く人は、漢字をどの程度使って、
どの言葉は漢字を使わないかの尺度は持っていたほうがいい。

自分の文体のイメージができあがったら、
なるべく読者の抱くイメージと違わない文体や漢字の使い方をするように意識すること。

⇒新入社員のとき、司馬遼太郎がやたらとひらがなを多用して、
読みやすい文章を書いてたのが目について、
会社の文章にひらがな多用したら、上司に怒られました^^;

[るんるん][るんるん][るんるん]

大衆小説家
親愛なる編集者殿
私の本を読んでくれませんか
書き終えるのに何年もかかりました
目を通してもらえませんか♪

ビートルズでペーパーバックライター♪ 



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hanamura

聞いていて読みたい本でした。今の自分は、転勤してパーティとか出ない職場なので、交流の場を広げなければ!酒場友達は増えていますがぁ・・・。
by hanamura (2012-12-01 13:06) 

seawind335

作家もアーティストと同じように色々なスタイルがあるのでしょうね。
by seawind335 (2012-12-01 13:22) 

rtfk

こんにちは^^)
自分は文章を書くのが好きですが
それをお金にしようと思ったことは
幸いながらないので(笑)
いつまでも読む側でいたいですね(^w^)

by rtfk (2012-12-01 13:39) 

川島

こんにちは^^
>コップの中に読書量がどんどん溜まっていって、最後にあふれ出す。
この表現!好きで心のコップとかパターンを変えてよく使います♪
donさんの書評は、血が通っているのを感じるので体温に近くすんなり読みやすいですよ☆
by 川島 (2012-12-01 14:18) 

mignon

文章書くのは好きなので一度読んでみたいです。
半年かけてコンビニのバイトより低い収入ですか・・・・・
それでも作家になりたい、いやコンビニのバイトと比べた時点で
作家にはなれませんね。
by mignon (2012-12-01 21:33) 

song4u

いかにも、なるほど・・・って感じですね~!^^;
もう何だか全面的にその通りだという気がして、その場に座り込んで
しまいたくなるなあ。(笑)
出版業界は今、冬の時代ですが、この先は更なる厳冬が見込まれます。
版元・取り次ぎ・書店の関係、はたまたこれに電子書籍化の件も含めて、
この世界はどうなって行くんでしょうかね?
by song4u (2012-12-01 21:42) 

銀狼

私も文章書くのは嫌いじゃない方ですが、
いつまで経っても読みづらい文章しか書けなくて・・・^^;
ちなみに私の悪友で学生時代からずっと「いつかは小説家になる」
と言い続けて、早30年近く経つ男がおります(笑)
村上春樹の影響をモロに受けてはいるんですが、
取り上げるテーマがあまりにもマニアックすぎるんですよねぇ・・・^^:

by 銀狼 (2012-12-01 23:32) 

don

hanamuraさんこんばんは!
酒場友達が一番です。なじみの店の常連やら、
連れ立っていく、気楽な仲間なんか。[__犬]
by don (2012-12-02 00:01) 

don

seawind335 さんこんばんは!
そうですね。やっぱり好みの作家を中心に読んでしまいます。
どうしても合わないスタイルもあったりしますよね[__犬]
by don (2012-12-02 00:03) 

don

rtfk さんこんばんは!
それが仕事になれば、結構なプレッシャーがあるでしょうね。
趣味の範囲で楽しんでるのが一番いいです。[__犬]
by don (2012-12-02 00:07) 

don

川島さんこんばんは!
ありがとうございます<_ _>

そういえば、コップの水を喩えに使った表現は、
よく聞く気がしますね。

たぶん1000冊単位で読まないと、読書の場合は
水が溢れないのでしょう^^;
by don (2012-12-02 00:13) 

don

mignon さんこんばんは!
よっぽど才能があっても、物書きは商売として成立
しなくなるのでしょう。一握りのトップを除いて。
タダでネットには無限に情報が広がってますから。

この本は、じっくり読むと文章がうまくなるかもしれません。
生徒の作品をいくつも、指導訂正してるので、その後を
追いかけると、勉強になると思います。[__犬]
by don (2012-12-02 00:19) 

don

song4u さんこんばんは!
商売としては成立しないかもしれませんが、それが文化レベルの
低落につながるかといえば、それはないかな。
ネットで無料でそういうものを発表する人は、たくさんいるでしょうし。

文章を書くという参入障壁は、ブログやSNSで崩れて多くの人が
やってきています。そのなかから、サラリーマンやりながら兼業
で物書きになる人は増えていくかも。出版側もリスク低減で、
この著者は売れないと思えば、自費出版勧めるでしょうし。
それでも好きな人は出すでしょう。

逆に今までが払いすぎていたのかも[__犬]
by don (2012-12-02 00:27) 

don

銀狼さんこんばんは!
いつもわかりやすい記事を書かれてますよ!

30年の「夢追い人」ですか。
人生経験や読書量なんかで、いつコップの水が溢れ出すか
わからないですよね。柴田トヨさんみたいなケースもあるし^^
by don (2012-12-02 00:32) 

su-nya

私も断然村上春樹派
…ですが、この本の解説とても興味深かったです。
私も文壇歌壇俳壇なんてちょっと大変そうな世界だなぁという
気がするからです。その仲間入りする心配はなさそうですけど。

ペーパーバックライター♪夢の印税生活は憧れではあるものの
あふれるほど書くものを残念ながら持っていません。読書量が足りないのでしょう!100歳になるまでにデビューできたらいいかな?

ちなみに、元同僚でひそかにバイトしながら書き溜めていて「このミステリーがすごい」で数年前大賞をとり、文壇に華々しくデビューし映画化までされて最近はBOOKOFFにまで本が置いてある(ということは売れている証拠?)
、そして新人なのに小説の書き方まで指南する本を出した、浅倉卓弥という人がいます。
バイト仲間だった時代、大賞をとってデビューする前の原稿を読ませてもらいました♪がここまで夢を追いかけて立派な作家さんになるとは思っていませんでした(・_・;)

下世話ながら今の浅倉氏の年収はいくらぐらいなんだろう♪
by su-nya (2012-12-02 01:10) 

vega

私はブログを書くようになって、ただ漢字を使えば良いものじゃない、と気づきました。
人の文章を読んでいても、ひらがな表記の方が想いが伝わる時もありますね。
でも文章を書くのは難しいですね。
つくづく思います。
by vega (2012-12-02 07:38) 

heroherosr

大沢さんも村上さんも対極であるけれど、どちらもこれこそ小説家だというイメージがありますね。タイトルを考えたのは編集者かもしれませんが、自分のことを「売れる作家」と言い切る大沢さんはすごいですね。
by heroherosr (2012-12-02 18:42) 

DEBDYLAN

文章書くのは好きだけど、語彙が貧弱なんで大したモノは書けません^^;
blogもみなさんの記事を読んで感心しています^^。

by DEBDYLAN (2012-12-02 22:45) 

don

su-nya さんこんばんは!
この人↓でしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%85%E5%80%89%E5%8D%93%E5%BC%A5

赤門ですか。かなりできる人なんでしょうね。
原稿読まれたのですね。貴重な経験をされたと思います。
ぼくのまわりには作家がいないので、一度原稿を読んでみたい
です。

今の時代は原稿用紙じゃなくて、A4のワードかエクセルかも
しれませんが[__犬]
by don (2012-12-03 22:45) 

don

vegaさんこんばんは!
文章書くのは難しいですよね。
どうしても時間がかかってしまいます。
さらさらっと書ければ、いうことないのですが^^[__犬]
by don (2012-12-03 22:50) 

don

heroherosr さんこんばんは!
大沢氏も悩んだようです。そんなたいそうな作家かと、
人から笑われるのじゃないかと。

読んでみるとわかりますが、立派な作家さんです。[__犬]
by don (2012-12-03 22:55) 

haku

自分は読書感想文が苦手で苦手で、
絶対物書きにはなれないと、子供の頃決めてました ^m^;
by haku (2012-12-03 22:56) 

don

DEBDYLAN さんこんばんは!
またまた~、ご謙遜されて~^^
とくに音楽評論では、ピカイチだと思います。[__犬]

by don (2012-12-03 23:00) 

don

haku さんこんばんは!
ぼくも同じです。感想が「おもしろかったです」しか
書けなかったですから^^;

そんなメンドクサイことするなら、外で遊んでたほうが
よっぽど楽しかったです[__犬]
by don (2012-12-03 23:02) 

su-nya

donさんへ
その人物です!
経歴の中の翻訳会社、というのが同僚だった場所です☆
残念ながら読ませてもらったのは、直筆悪筆の原稿用紙ではなく
ワードのプリントアウト原稿でした…。

偉そうにダメ出しなどしたり、
誤字脱字の校正をしてあげたりしましたが
「欄間」と「欄干」、使い分けて書かれていたのに
全部「欄干」と直したり、校正係失格!

by su-nya (2012-12-04 05:42) 

みかん

donさん、こんばんワイン[__バー]!
ワインと言いながら、今ビールを飲みながら夕飯をこさえてます。
キッチン・ドランカーであります[__猫]

春樹さんは露出少ないですよね。 不思議と、そういう人こそ
気になる、というか飲み会とかでも、そうですね~
(全然話が違う方向へ行ってスミマセン[__あせあせ])

私も、いつか自費出版してみたいなぁ。 いくらぐらいかかるんでしょうね。
それにしてもdonさんはたくさん読んでいらっしゃり、文章も
分かりやすくて読みやすいです。 私もコップが溢れるほど読まなくちゃ・・・[__ふらふら]
by みかん (2012-12-04 10:55) 

don

su-nya さんこんばんは!
翻訳会社ですか。なんかすごそうですね。
ぼくには想像もできない世界です。
ある種の出版会社のようなものでしょうか。

有名人と同僚だったというのは、いい思い出になりますね。
なんかもらっとけば良かったですね[__犬]
by don (2012-12-04 22:02) 

don

みかんさんこんばんは!
ありがとうございます。[__犬]

みかんさんの所はビールが安いからいいですよね。
今日はぼくは熱燗を2合晩酌で飲みました。
息子のジャンプを読みながら。今週号のワンピースは
面白かったです♪

飲み会は、はじけるのみです。明日は同僚と気楽な飲み会です。
カラオケで何歌おうかな^^

将来は出版ですか。夢があっていいですね。
みかんさんの夢がかないますように。有名になったら
サインくださいね^^
by don (2012-12-04 22:14) 

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