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【赤めだか】のあらすじ~ビートたけしx二宮和也で2015年ドラマ化 [本/文学芸術]






赤めだか

赤めだか

  • 作者: 立川 談春
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2008/04/11
  • メディア: ハードカバー


【赤めだか/立川談春/2008年4月初版】

「落語とは人間の業の肯定である」

「赤穂藩には家来が300人近くいたんだ。総数の中から47人しか敵討ちに行かなかった。残りの253人は逃げちゃった。まさかうまくいくわけがないと思っていた敵討ちが成功したんだから、江戸の町民は拍手喝采だよな。そのあとで皆切腹したが、その遺族は尊敬され親切にされただろう。逃げちゃった奴らはどんなに悪く云われたか考えてごらん。理由の如何を問わずつらい思いをしたはずだ。

落語はね、この逃げちゃった奴らが主人公なんだ。人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、そうはいかない。月末になって家族中が慌てだす。それを認めてやるのが落語だ。」by立川談志。

今度TBSでドラマになります。立川談志がビートたけし、立川談春が二宮和也だそうです。本書は2008年に講談社エッセイ賞を受賞してるかなり面白い一冊。

「ぜんぜんおもろない。毒舌で理屈っぽい。」個人的な立川談志の印象です。

しかし立川談志一門は弟子が凄いんですよね。ビートたけし、高田文夫、ダンカン、毒蝮三太夫、横山ノック、上岡龍太郎、山本晋也、景山民夫・・

なんで人が集まってきたのか。システムなのか人としての魅力だったのか。

立川談志は笑点を企画して初代司会やったり、70年代は自民党議員やったりと、突出してたのかもしれません。で、後に人間国宝になる師匠・柳家小さんに破門にされる。

落語協会に自信をもって送り出した弟子が真打試験で落とされる。談志を否定されたと落語協会を脱退、落語協会会長は談志の師匠である柳家小さんでした。弟子が師匠に反旗を翻した。世間の耳目を集める醜聞です。

古い話ですがなんとなく覚えてます。そういえばうちの親は談志が出てくるとチャンネル変えてた。

で、この本は落語会を揺るがしたこの大事件に最後の最後につながっていきます。談春の真打試験を興行にしてしまい、ゲストを呼んで合否判定をしてもらう。師匠の立川談志を呼ぶのはもちろんですが、そこに絶縁になっている人間国宝・柳家小さんも呼ぶという。さてこの話はどうなるのでしょうか。

ドラマは真打試験のクライマックスまでやるのか、前座から二ツ目への昇格までの青春篇をやるのか。


この本の簡単なあらすじを以下に。ドラマ見る人は読まないほうがいいかも^^

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父親に連れられて競艇場に通ってた談春。彼の夢は競艇選手になることだった。だけど身長オーバーで道は閉ざされる。図書館で落語全集を読み、その魅力に取りつかれた談春は、高校で落研をつくり落語に夢中になる。17歳、高校をやめて立川談志に弟子入りすることを決意する。

父親は高校を卒業しての弟子入りなら家から通わせる。高校を辞めて弟子入りするなら家を出て行けという。談春は新聞配達の住み込みをしながら弟子入りする。1984年17歳での入門。

ここまでが、
第一話:「これはやめとくか」と談志は云った。


第二話:新聞配達少年と修行のカタチ
17歳、新聞配達をしながらの厳しい修行時代。談春の名前を師匠からもらい、兄弟弟子とのドタバタが微笑ましい。後輩の談秋が辞めるまでを描く。

「庭の水がめに飼っている金魚は、金魚とは名ばかりで、いくらエサをやっても育たなかった。僕たちはあれは金魚じゃない、赤めだかだ、と云って馬鹿にしていたが、大きくならないところも師匠好みらしく可愛がっていた。」

ドジな談秋が師匠に金魚のエサやりを命じられ、お麩1本を丸ごと指先でつぶして、全部水がめの中に入れる。膨張して層になったお麩の中で金魚が溺れた。失敗続きの談秋はこのあとに辞める。


第三話:談志の初稽古、師弟の想い
師匠に稽古をつけてもらう。談志語録が面白い。師匠の機嫌をを損ね「落語家を辞めろ」と云われる。


第四話:青天の霹靂、築地魚河岸修行
礼儀のなっていない弟子たちを、兄弟子が築地で仕事させる。ほぼ1年間の築地の仕事で弟子たちは社会性を身につける。


第五話:己の嫉妬と一門の元旦
師匠は落語を後輩の志らくに教われという。嫉妬に身を焦がす。


第六話:弟子の食欲とハワイの夜
前座の弟子たちはカネがなく、いつも腹を空かせてた。食べ物をめぐるドタバタと、師匠の付き人として行ったはじめてのハワイ旅行。ハワイは最低だったらしい。


第七話:高田文夫と雪夜の牛丼
志らくの大学の先輩の高田文夫に世話になる。飲み会の場へ呼ばれ、志らくと談春で諸先輩をトークで大爆笑させ自信を持つ。


第八話:生涯一度の寿限無と五万円の大勝負
前座から二ツ目への試験。立川流の二ツ目の基準は、古典落語を五十席覚えること、寄席の鳴物を一通り打てること、講談の修羅場を噺せること、踊りを二つ以上踊れること。談談、関西、志らく、談春が受けて四人とも合格する。その後二ツ目のお披露目を、立川一門で盛大に行う。


特別編その一:揺らぐ談志と弟子の罪
2008年の時点で、談志直属の弟子(前座)がいなくなった。談志が一つの部分を整理し始めた。もう時間がない、立川流は談志がいなくなればどうなるのか。


特別編その二:誰も知らない小さんと談志
談春を介しての、談志と小さんの手打ちはどうなるのか。小さんは談春の真打興行には出た。「蒟蒻問答」の稽古もつけた。談春が驚いたのが、稽古の仕方、進め方が談志とそっくりだったこと。談春の芸には、談志を介して小さんの血が流れていた。

談志が小さんへ礼に行きたいと言い出す。歴史的な和解だ。ただこれを小さんは断る。「今さら俺のところにこなくていい。あいつは今のままでいいんだ」

結局、手打ちはできず、小さんの葬式にも談志は出なかった。談志は云います。「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是としない。そんなことはどうでもいい。談志(おれ)の心の中には、いつも小さんがいるからだ」


その他の読書メモを。

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<芸は盗むものはウソ>
よく芸は盗むものだというがあれはウソだ。盗むほうにもキャリアが必要なんだ。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。教えるほうに論理がないからそういういいかげんなことを云うんだ。落語を語るのに必要なのはリズムとメロディだ。それが基本だ。  by談志



<談志の教えは丁寧だった>
これはおれの趣味だがお辞儀は丁寧にしろよ。きちんと頭を下げろ。次に扇子だが、座布団の前に平行に置け。結界と云ってな、扇子より座布団側が芸人、演者の世界、向こう側が観客の世界だ。観客が演者の世界に入ってくることは決して許さないんだ。たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話しだすことはない。堂々と見ろ。それができない奴を正面が切れないと云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな。

客席の最後列の真ん中の上、天井の辺りに目線を置け。キョロキョロする必要はない。マクラの間に左、右と見てゆくにはキャリアが必要なんだ、お前はまだその必要はない。大きな声でしゃべれ。加減がわからないのなら怒鳴れ。怒鳴ってもメロディが崩れないように話せれば立派なもんだ。そうなるまで稽古をしろ。俺がしゃべった通りにそっくりそのまま覚えてこい。物真似でかまわん。それができる奴をとりあえず芸の質が良いと云うんだ。
  by談志


<型なしと型やぶりの違い>
型ができてない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。型をつくるには稽古しかないんだ。  by談志



<志らくと談春の違い>
談春の1年半後輩が志らく。年は志らくのほうが三歳上。志らくは落語を覚えるスピードが速かった。談春が2年で24本、月に1本ペースなのに、志らくは週1本のペースで覚えてきた。半年で追いつかれた。



<修業とは>
前座は修業期間中だ。「修業とは矛盾に耐えることである」談志は修行の厳しさを、簡潔に言葉で教えてくれた。



<さだまさしのフォロー>
落語を愛するさだまさしと飲み、真打が志らくに遅れをとったことを愚痴った。その時のさだまさしの言葉。
「談春、一体自分を何様だと思ってるんだ。立川談志は天才だ。俺たちの世界でたとえるなら、作詞作曲、編曲に歌に演奏まで一人でできてしまう。そのすべて、どれをとっても超一流だ。そんなすごい芸人が落語というひとつの芸能のなかで、50年の間に2人も3人も出現するわけがないだろう。憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれない。短所には目をつぶって、長所だけ伸ばすことを考えろ。早く真打になれ。そこがスタートラインだ。」



落語はお好きですか?語るほど観てませんが、小学校のころ落語全集を何冊か読んで、寿限無は今でも諳んじてます。で、誰が好きか。上方落語の桂米朝です。司馬遼太郎のエッセイを読んでると、よく米朝の話がでてきます。絶賛して、若い人たちにも聴くことを薦めてたりする。話術のすべてが勉強できる。

今の時代はYOUTUBEですぐに見られますが、当時はCDで2500円ぐらいしてました。何枚か買って彼の口調をマネしました。はんなりして聴く者に心地よい。とくによく聴いたのは第一集の「帯久」です。いろいろ聴いて今でもよく聴くのは、酒飲み芸が面白い「らくだ」。あなたがもし酒好きなら、一度は聴いてみるべしかと。とくに25分ごろからの屑屋が酒を飲み始めて、立場が逆転するとこからは最高です。

名人芸と言われる松鶴より、米朝のほうがリズムがいい。「人間の業の肯定」を強く感じる一席です。


関連図書:リズムが大切ってみんな言いますね。

【文章読本/谷崎潤一郎/1934年初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14

【五輪書/宮本武蔵・訳者神子侃/1963年8月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-08-10

【間抜けの構造/ビートたけし/12年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-01-12

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コメント 12

heroherosr

落語は好きですが話の中身が好きであって、誰が好きというものはありませんね、活字になった落語を読むことでもかまいません。
by heroherosr (2015-02-14 17:29) 

扶侶夢

どこの世界にも天才的なすごい人は居るものですが、どなたさんも一般人ではついて行けないような破滅的な匂いを漂わしているんですよね。
でもそれは本当は破滅ではなく、創造のための破壊なんですけどなかなか常人には許容しづらいものがあります。
by 扶侶夢 (2015-02-14 20:54) 

DEBDYLAN

落語、若い頃の方が聴いてたかも・・・
好きなんですよ詳しくないけど^^;
また、ちゃんと聴いてみたいなぁ。

by DEBDYLAN (2015-02-14 23:47) 

seawind335

いやー、本当に奥が深いですね。。。。
日本人として大切にしたいですね。
by seawind335 (2015-02-15 00:58) 

hanamura

年末年始に読んだ!「立川談志 鬼不動」弟子 吉治郎
よかったですよぉ~。
・・・つ~か、落語は読まずに、寄席へ行かなくっちゃ!自分(ズブン)
by hanamura (2015-02-15 08:57) 

don

heroherosrさんこんにちは~
鋭いご意見ありがとうございます。
本質はそうなのかもしれません[__犬]
by don (2015-02-15 15:57) 

don

扶侶夢さんこんにちは~
>それは本当は破滅ではなく、創造のための破壊なんですけど

アーティストはまだそれが可能かもしれませんが、組織の中の
サラリーマンには難しいものがあります。
それができる人は、しがらみに囚われない凄い人だと思います[__犬]
by don (2015-02-15 16:01) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
街の中央図書館は、落語のCD貸出やってたりしますよね。
ま、今の時代YOUTUBEで見れますが[__犬]
by don (2015-02-15 16:03) 

don

seawind335 さんこんにちは~
ほっとくと古典落語は絶滅しそうです。
誰かがつないでいかないと[__犬]

by don (2015-02-15 16:04) 

don

hanamuraさんこんにちは~
そうかぁ。さすがに「いえもと」。
多くの弟子が談志本書いてるんですね。

寄席かぁ。 hanamuraさん現場主義ですよね。
やっぱ足運んでなんぼですか[__犬]
by don (2015-02-15 16:07) 

獏

こんばんは^^)
ナマクラの雰囲気でも研ぎ澄まされた切れ味を持つ人
そんなイメージを持ちます☆
獏は個人的には好きでした でもおおっぴらには言えませんでした
それは彼のアナーキーな雰囲気に憧れていると
思われたくなかったからかもしれません。。。
嗚呼 彼のように何かに向かって正直に生きてみたい。。。

by 獏 (2015-02-15 20:17) 

don

獏さんこんにちは~
たしかにナイフみたいな人でしたね。
凄いとは思いましたが、オモロイとは思いませんでした。

長いものに巻かれない生き方は、しんどいだろうなぁ・・[__犬]
by don (2015-02-16 12:35) 

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