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【職業としての小説家/村上春樹】海外で人気の理由は? [本/文学芸術]


職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

  • 作者: 村上春樹
  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: 単行本


【職業としての小説家/村上春樹/15年9月初版】
ウォールストリートジャーナルいわく、「文学的ロックスター」村上春樹。
50を超える言語に翻訳され、世界各国でベストセラーになってる。
総発行部数は、ググってもよくわかりませんが、いまは国内より海外での売上のほうが大きいと。
2010年末の時点で、「ノルウェーの森」は国内だけで1095万部突破。
上下巻、文庫合わせての数字です。
世界売上合計では、「ノルウェーの森」だけで2000万部を超えると思われます。


アメリカでは「1Q84」はNYタイムズのフィクションで2位、「色彩を持たない~」は1位を獲得
ロシアでは90年代半ばの時点で、村上作品がベストセラー10位の半分を占めたことがあったそうです。
ニューヨークを海外出版のハブにしたことが、ヨーロッパでの売上の伸びに繋がったと。

アジアの人気も凄い。
韓国では2005~2015年の最多販売作家が村上春樹で、400万部ぐらい売った。
ちなみに2位は「木」のベルナール。3位は韓国人作家。
中国でも「1Q84」は初版100万部。台湾では50万部・・・
これだけ売れると、発言がリベラルになるのはしようがないか^^;

今年は話題作が続きますよね。年末ぐらいに旅行記も出すそうです。
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文体が平易で翻訳しやすいのも、世界でウケる理由のひとつだとは思いますが、
彼自身が、ちゃんとアメリカで営業した、というのが成功の大きな要因です。

本書で詳細に語られてますが、最初は80年代後半に講談社アメリカがバックアップ。
ニューヨーカー誌が、羊をめぐる冒険を評価し、専属作家契約を結びます。
でもその段階は、まだカルト的人気。

「アメリカで作家として成功しようとしたら、アメリカのエージェントと契約し、
アメリカの大手出版社から本を出さないとむずかしい」と何人かのアメリカ人からアドバイスされ、
知り合いのつてを頼って自分でエージェントを探し、新しい出版社探しをします

エージェントは大手エージェンシーのICMのアマンダ・アーバン、
出版社はクノップフ(トップはサニー・メーター)、担当編集はゲーリー・フィスケットジョン。
米国文芸界のトップクラスの人たちです。

この3人はそのままレイモンド・カーヴァーのエージェントで、出版代表で、担当編集者。
村上春樹はレイモンドの翻訳者で、彼の作品を日本に紹介したというつながりがあります。

タイミング的にノルウェーの森が日本で200万セット売れてたし、
ニューヨーカー誌も高く評価したニューカマーだったことが、米国の大物を惹きつけたと。
この3人の出版人は、広いコネクションと、業界への確かな影響力があったそうです。

それからアメリカ作家と同じ土俵に立つために、
自分で翻訳者を見つけて個人的に翻訳してもらい、その翻訳を自分でチェックして、
その英訳された原稿をエージェントに持ち込み、出版社に売ってもらうという方法をとったそうです
そうしようとしたのは、アマンダに「英語で読めない作品は自分に扱えない」とはっきり言われたから。

アマンダ、サニー、ゲーリーとは個人的に親しくつきあい、よく一緒に飯を食ったりするそうです。
そういうのは、どこの国もおなじで、エージェントに丸投げだったら、動くものも動かないと。

アメリカも浪花節なんですね。
成功した人っていうのは、やらなければならないことは、ちゃんとやってる。
やらない人が成功しない。



ぼくが村上春樹を知ったのは、深夜放送のディスクジョッキーが絶賛してたからです。
「すごい作家がいる。価値観が似てて、これまでのどの作家とも違う。
こんなに自分にぴったりの作家ははじめてだ」

すぐに「風の歌を聴け」を読み、いらい彼の作品と共に人生を歩んでます。
当時中学生で、中学生にも簡単に読めて、それまでのどの日本人作家よりもクールだった。
今でいうところの、ラノベみたいなものか。

本読んで笑ったのは初めてでした。それだけで衝撃です。誰の文章とも違う。
もちろんウンチクというか、その価値観に感心するところもある。

それからというもの、村上春樹がいいという音楽やら酒やら、ファッションやら生き方やら、
いろんなものに影響されました。たぶん文体なんかも、そっくりになってると思う。
文体は多くの人が影響されてますよね^^

ぼくの好きな3作品。図書館で借りて読んだ後に、手元に欲しくて買った本。
寝る前に読むことが多いです。
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アンダーグラウンド (講談社文庫)

もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)



「職業としての小説家」は、村上春樹ファン必読です。
いろんな作品のメイキング風景も書かれてたりする。
たとえば「ノルウェーの森」。
ギリシャ各地のカフェのテーブルや、フェリーの座席や、空港の待合室や、
公園の日陰や、安ホテルの机で書いたそうです。
ローマの文房具店で買った安物のノートに、BICのボールペンで細かい字を書いた。


今回の要約読書メモは、以下の3点に絞りました。
・当時まったく新しかった衝撃の文体を、どうやって編み出したか。
・長編小説の書き方。
・1人称から3人称への変化。


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<村上春樹はどうやってあの文体を編み出したか>
「風の歌を聴け」は原稿用紙200枚弱の短い小説。
でも書き上げるまでに、ずいぶん時間がかかった。
最初に書き上げたものを読んでみると、自分でも感心しなかった。
そこで原稿用紙と万年筆を放棄した。

押し入れにしまっていた英文タイプライター「オリベッティ」を持ち出した。
小説の出だしを試しに英語で書いてみた。
英語の作文能力はたかがしれてる。センテンスは当然短いものになった。

英語では頭の中の複雑な思いは表現できない。
内容をできるだけシンプルな言葉で言い換え、意図をわかりやすくパラフレーズし、
描写から余分な贅肉をそぎ落とし、全体をコンパクトな形態にして、
制限のある容れ物に入れる段取りをつけていく。無骨な文章になってしまう。
そうやって書き進めていくうちに、自分なりの文章のリズムが生まれた。

そのときに発見したのは、言葉や表現の数が限られていても、
効果的に組み合わせることができれば、そのコンビネーションによって、
感情表現・意思表現はけっこううまくできる。

「何もむずかしい言葉を並べなくてもいいんだ」
「人を感心させるような美しい表現をしなくてもいいんだ」

外国語で書く効果の面白さを発見し、自分なりに文章を書くリズムを身につけると、
英文タイプライターを押し入れに戻し、もう一度原稿用紙と万年筆を引っ張り出した。

そして机に向かって、英語で書き上げた一章ぶんくらいの文章を、日本語に翻訳していった。
翻訳といっても直訳ではなく、自由な移植に近いもの。
するとそこには新しい日本語の文体が浮かび上がった。

それは自分自身の独自の文体で、自分の手で見つけた文体。
そのときに、こういう風に日本語を書けばいいんだと思った。

そうやって新しく獲得した文体を使って、既に書き上げていた「あまり面白くない」小説を、
頭から尻尾までそっくり書き直した。小説の筋そのものはだいたい同じで、
表現方法はまったく違う。それが今ある「風の歌を聴け」という作品。




<村上春樹の長編小説の書き方>
1日に400字詰原稿用紙にして、10枚見当で原稿を書いていく。
マックの画面でいうとだいたい2画面半。
もっと書きたくても10枚でやめ、今ひとつ乗らないときでもがんばって10枚書く。
長い仕事をするときは、規則性が大切な意味を持ってくるから。

1日10枚原稿を書けば、1か月で300枚書ける。半年で1800枚。
「海辺のカフカ」の第一稿が1800枚。

第一稿を終えると、1週間休んで、第1回目の書き直しに入る。
頭から全部ごりごり書き直す。その書き直しに1~2カ月かかる。
それが終わるとまた1週間置いて、3回目の書き直しに入る。

4回目の書き直しが終わると、一度長い休みをとる。半月か1か月ほど作品をしまい込む。
その間は旅行をしたり、翻訳の仕事をしたり。作品をしばらく寝かせる。
その後に再び細かい部部の徹底的な書き直しに入る。前に見えなかった欠点が見えてくる。

次に第三者の意見が必要になる。
奥さんに原稿を読ませる。作家としての最初から、この段階でずっと奥さんに読ませてる。
出版社の編集者はサラリーマン。どこまで親身につきあえるか予測が立たない。
妻は配置転換もなく、観測定点になる。

妻から言われたことは、すんなり受け入れられないこともある。
批判的なことを言われると、頭にくるし感情的になる。激しい言い合いになることもある。
編集者相手に、きつい物言いはできないので、身内の利点ともいえる。

奥さんの批評に納得するまで、数日を要することもある。
自分の思いのほうが正しいと思うこともある。
だけど個人的ルールとして、批評に納得がいかなくても、指摘を受けた部分は頭から書き直す。
書き直した部分をもう一度読んでもらい、また討論して必要があれば、また書き直す。
それを繰り返し、全体のトーンを修正し、そこで初めて編集者に正式に読んでもらう。

編集者の指摘があれば、また同じように修正を繰り返す。
つまり大事なのは、書き直すという行為そのものなのだ。




<1人称から3人称になるまで20年かかった>
1人称「僕」で小説を書き始め、そういう書き方を20年くらい続けた。
短編では3人称を使ったが、長編ではずっと「僕」でとおした。
1人称だけをもちいた長編小説は、「ねじまき鳥クロニクル」が最後になった。

さすがに「これがもう限界だな」と感じるところがあり、「海辺のカフカ」では半分を3人称の語りにした。
その後に書いた短編小説「東京奇譚集」、中編小説「アフターダーク」はどちらも、
最初から純粋な3人称小説になった。

短編や中編というフォーマットで、自分に3人称がしっかり使えることを確かめた。
1人称に別離を告げ、3人称だけを使って小説が書けるようになるまで、
デビュー以来ほぼ20年を要した。




なんのひねりもないですが、ノルウェーの森♪ やっぱ名曲♬



ラバー・ソウル

ラバー・ソウル

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: CD



(関連記事)
【騎士団長殺し/村上春樹/17年2月初版】
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【色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹/13年4月初版】
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獏

こんにちは^^)
村上春樹 読まず嫌いなんです(@w@;)))
人気作家が意味無く嫌いなんですよね(笑)
でも書き方の手法や奥様に批評させる場面
ちょっと読んでみようかという気になりました☆

by 獏 (2015-10-18 13:21) 

song4u

驚きました。
獏ちゃんが春樹センセを「読まず嫌い」なんて言うなんて!
ぼくが知ってる獏ちゃんは優等生で、こんな攻撃的なことを仰るような
そんなイメージはまったくありませんでしたから。

だけど、何だか一段と獏ちゃんが大好きになってしまいました。
なぜなら、ぼくとまったく同じスタンスだと感じたからです。
「読まず嫌い」・・・まさにそうなんだよね。
読んだら好きになってしまいそうだから、読まないのです。(何じゃそりゃw)

例えば、大御所のdonさん。例えば、有能な秘書のみかん君。
居並ぶ筋金入りの本読み連中が、掛け値なしに「すごい!大好きっ!」
と仰るのだから、そりゃあもう、素敵であるのは200%鉄板でしょう。
でも、ごめんね。獏ちゃんもぼくもヘソが曲がっておりますから^^;

で、獏ちゃんが最後に書いておりますね、
ちょっと読んでみようかという気になりましたぜ・・・なんて。
さて、彼は本当に春樹センセを読むのでありませうか?
ぼくはね・・・(以下、ヒ・ミ・ツww)
by song4u (2015-10-18 20:46) 

don

獏さんとこの記事見て、
むしょうに寿司が食べたくなりました。
アワビとか、あとそろそろ土瓶蒸しですか。

ああ、アワビが食べたい。
来月ぐらい、ちょっと無理して回らない寿司屋にでも行こうかな[__犬]
by don (2015-10-18 22:46) 

don

song4uさんこんばんは~
SB日本シリーズですね。強すぎる気もしますが、
ファンは強すぎてもぜんぜん困らない。
2003年ごろも強かったですが、今は黄金期ですね。
うらやましいなあ。
わが愛するチームは、暗黒期に突入かもしれません。

小説は嗜好品だから、サッポロビール好きな人もいると思います。
ぼくもどちらかというと、判官びいきだったり、
サッポロ好きだったりしますが。

ちょっと読んでみたら、はまるかもしれません。
おすすめは、デビューからの初期3部作です。
あっという間に読めますよ[__犬]



by don (2015-10-18 23:03) 

heroherosr

奥さんの内助の功があるんですね
しかし、いつになったらノベール賞が取れるのでしょうか
by heroherosr (2015-10-19 17:43) 

みかん

donさん、おはようございます。
こちらもようやく、長袖が必要な朝晩が到来です[__温泉]。

自分の足を使って、人との関係を大切につくっていく人ですね^^
にんげん春樹、やはり生き方そのものに憧れてしまいます。

>言葉や表現の数が限られていても、
効果的に組み合わせることができれば、
そのコンビネーションによって、感情表現・意思表現は
けっこううまくできる。

英文タイプライターでの発見は大きかったのですね。
英語では、どうしてもシンプルな表現になってきますね。

梨さんが来月、日本出張へ行くので買ってきてもらいます☆彡 
by みかん (2015-10-19 23:11) 

DEBDYLAN

未だに初期の3部作が好きです^^;
あと、小説じゃなくてエッセイが好き。
音楽のコトも書いたりしてるんで。

by DEBDYLAN (2015-10-20 00:06) 

don

heroherosr さんこんばんは~
来年あたり、くさいです。[__犬]
by don (2015-10-20 22:12) 

don

みかんさんこんばんは~
みかんさんも一緒に日本に帰ってきたらいいのに。
マイルたまってて、旅費ぐらい出ませんか?

そういえば最近、ハイボールに凝ってます。
いっぱい写真撮ったので、ハイボールの記事でも書こうかなと思ってます。

とはいえ、酒の記事書くと、あんまりアクセス伸びないんですよね。
ぼくのサイトに、みんな酒のことを求めてないのだと思います。
日本人は酒飲めない人多いですしね。

そろそろ寝ようかな。おやすみなさいー[__犬]
by don (2015-10-20 22:18) 

don

DEBDYLANさんこんばんは~
やっぱり初期いいですよね。
それとエッセイもいい。
同じですね! [__犬]
by don (2015-10-20 22:20) 

U3

メチャ、ハルキストですね。
わたしはそこまでハマりませんでした。
by U3 (2015-10-21 14:47) 

don

U3さんこんばんは~
ナイスに関するU3さんの考察、面白かったです。
ところで村上春樹はファンのことをハルキストじゃなくて、
「村上主義者」と呼んでほしいそうです [__犬]
by don (2015-10-21 22:10) 

ミスカラス

村上というと・・私の中ではマッシー・村上かな。
by ミスカラス (2015-10-25 18:43) 

don

ミスカラスさんこんばんは~
ググると、ああこの人ですか。なるほど[__野球]
by don (2015-10-26 22:22) 

りなみ

(*^_^*)こんにちは。【職業としての小説家】素敵な記事をありがとうございます。donさんの要約と感想、いつもながら素晴らしいです。私はまるで村上さんに話しかけられているみたいで、読み終わるのがもったいなくて、少しずつ読みました。とても幸せな読書で、自分がよみがえったような気がします。この本は小説家指南のようでいて、村上さんの生き方を教えてくれ、読者を励ましてくれるような気がします。【村上さんのところ】も大好きです。毎日読んでいます(笑)あまりに好きすぎて、電子書籍と紙の書籍、両方購入してしまいました。フジモトマサルさんの絵がかわいくて、嬉しくなってしまいます。
by りなみ (2015-12-01 22:45) 

don

りなみさんこんにちは~
過分なお言葉ありがとうございます<_ _>
それはそうと、PLAYLOG出身者が少なくなりましたねぇ・・・
PLAYLOGサービス終了から、もう4年以上がたった。
ヒサさんなんかの記事は面白かったのですが、
さいきんはぜんぜん更新されないし^^;

ところでフジモトマサルさん急逝されましたよね・・
せっかく安西さんからバトンタッチでこれからという時だったのに。
残念です。

ぼくも「村上さんのところ」大好きです。
シンプルなんだけど深い。
やっぱりお悩み相談というのは、
すごいコンテンツなんだと思います。

それではまた[__犬]
by don (2015-12-02 12:42) 

りなみ

donさん、こんばんは。コメントレスをありがとうございます。フジモトマサル氏が亡くなられたこと、存じ上げませんでした。あまりにもお若いです。ショックです。とても悲しいです。ご冥福をお祈り申し上げます。donさん、教えてくださってありがとうございます。【村上さんのところ】大事にします。そうですね、playlogの方、ほとんどいらっしゃらないですよね。寂しいです。playlogはあったかいSNSでしたね。何もかも懐かしいな。
by りなみ (2015-12-02 19:42) 

don

りなみさんこんにちは~
こちらこそ返信ありがとうございます。

PLAYLOG楽しかったですよね。
わずか4年ほどしかたってませんが、
懐かしいです。それにしても諸行無常です[__犬]
by don (2015-12-03 12:45) 

藍色

こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
by 藍色 (2015-12-07 11:57) 

don

藍色さんこんにちは~
トラックバックありがとうございます!
[__犬]
by don (2015-12-07 12:29) 

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