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トヨタ近代史~【トヨトミの野望】書評と要約 [本/Biz経済]


トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

  • 作者: 梶山 三郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 単行本


【トヨトミの野望/ 覆面作家 梶山三郎/ 16年10月初版】


サラリーマンなら読むべき一冊。
日本で自動車産業に従事する人は、全就業人口の8%近くに上ると言われているので。

トヨタ近年の社史がよくわかる。
もちろん仮名でぜんぶ書き変えられてます。山崎豊子の本みたいに。
(ペンネームは、経済小説開拓者・城山三郎をリスペクトしてるんでしょうね)

ただこの本で読んだことを、トヨタ関係者に話すと嫌われるかも。
本書が逆鱗に触れて、原案協力者はトヨタのイベントから出入り禁止になってます。

この前読んだ日本のタブーに、以下が書かれていたので読んでみました。

『昨年の調査。広告費が1000億円を超えた9社のうち3社が自動車メーカー。
1社がタイヤメーカー。この国のメディにとって自動車産業が最大の得意先。
とくにトヨタは最大の4980億円の巨額広告費。

2016年10月に出版された「巨大自動車企業 トヨトミの野望」。
トヨトミ自動車を舞台に、武田剛平という叩き上げのサラリーマン社長と、
豊臣統一という創業家のサラブレット、2人の主人公を軸に物語が進行する。

主人公のたたき上げ社長は奥田氏、サラブレットは豊田章男社長と思われる。
この小説がトヨタの逆鱗にふれたのは、若かりし頃の章男社長の「スキャンダル」。
トヨタ社内でもタブー視されてる裏面史が、臨場感たっぷりに描かれている。
それを可能にしたのは、原案協力のジャーナリストの井上久男。
朝日新聞経済部時代から、取材を通してトヨタの内部を知り尽くしている。

この小説は10刷のヒットを記録したが、
テレビ、新聞、雑誌ではほとんど扱われない。広告はトヨタの顔色をうかがって取りやめ。
井上氏もトヨタの会見やイベントから出入り禁止となった』


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トヨタの歴代社長、近年は以下です。
5代:豊田英二(1967年10月~1982年7月)
6代:豊田章一郎(1982年7月~1992年8月)
7代:豊田達郎(1992年9月~1995年8月)
8代:奥田碩(1995年8月~1999年6月)
9代:張富士夫(1999年6月~2005年6月)
10代:渡辺捷昭(2005年6月~2009年6月)
11代:豊田章男(2009年6月~ )


本書は奥田さんから豊田章夫さんまでの物語。

まずスキャンダルとは何か?
現社長が39歳開発部次長のとき、名古屋のクラブの若いホステスといい仲になった。
そこにヤクザが登場。典型的な美人局。暴力団フロント企業の事務所に拉致される。
そこを猛者の奥田&張が乗り込み現社長を救出。
示談はトヨタグループ処理係の豊田通商が行ったという。

まあこの話はよくある話で、さほどインパクトはない。
人間だからそれぐらいのことはあってもいい。

それより本書に一貫して流れてるのは、奥田さんはすごかったという話。
創業家は経営者の器じゃないし、嫉妬して報復人事までしてる。トヨタの功労者に。

喜一郎(実質創業者)⇒章一郎(喜一郎の長男)⇒章夫(章一朗の長男)
トヨタの社長は、弟とか、分家の人、外部人材もやってますが、
豊田本家筋では、現社長が3代目になるんですよね。

奥田さんが社長になる前、豊田家の人間が社長をして業績が悪くなってる。
それをいろんな手を打って、会社を大きく発展させたのが奥田さん。

ダイハツや日野のグループ化、中国市場参入、米国市場開拓。
清濁併せのむ。フィリピン時代は絵画取引で裏金つくって政権に入り込む。
アメリカ市場もロビー活動で、バッシングを封じ込める。

ボンボン社長だと、ワイロ贈って他国の世論を抑えたり、そういう発想がない。
周りはイエスマンで固めてる。真の危機になったときに、救える人間がいない。
奥田さんみたいに。


以下に読書メモを。


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自動車メーカーは脆い


自動車メーカーなど脆いもんだ。国の規制ひとつで右往左往して会社が傾く。
外野は大銀行並みのトヨタ銀行と面白がってヨタ記事を書いてくれるが、内情がわかってない。
トヨタは世界中で1か月に5000億円~1兆円のキャッシュが出ていくんだぞ。
クルマが売れなくなり、製造ラインが止まれば終わりだ。

(補足)17年3月期:売上27兆5972億円、経常利益2兆1938億円、
自己資本18兆円、総資産48兆7502億円、自己資本比率36.9%、従業員数35万人弱。




プリウスは最初赤字だった


世界初のハイブリッド。当初は採算割れ。
車体価格215万円。同クラスのガソリン車が150万ほど。40%ほど割高。
それでも採算ラインに届かない。1台売るごとに1百万円の赤字。
ただし高かったので年間2万台しか売れなかった。
つまり赤字もたいして膨らまない。年間2百億円程度。




トヨタ社長の米国公聴会での弁


「わたしは創業者の孫であり、すべてのトヨタのクルマにはわたしの名前が入っている。
わたしにとってクルマが傷つくということは、自分の身体が傷つくことに等しい。
トヨタのクルマが安全であってほしい、お客様に安心して運転していただきたい、
その気持ちはトヨタの人間であるわたしが一番強い」

⇒豊田家の株主比率は1~2%程度だそうです。
フォルクスワーゲンは、創業家のポルシェ家とピエヒ家が合わせて51%を持ってます。




テスラはZEV規制で儲ける


現在EVトップのメーカーはカリフォルニアのテスラ。
テスラは1台売るごとに5千ドルの赤字が出る。採算度外視の販売制度。カネは投資で賄ってる。
テスラはオーナーが口八丁のやり手で、EVが世界の主流になれば莫大な見返りがある、
と富裕層を口説いてカネを引っ張ってきている。しかしそれが限界になった。

焦れた富裕層のかわりに、トヨタからZEV規制でカネをぶん獲ろうとしている。
トヨタはカリフォルニアでクルマを売りたければ、
テスラから巨額の排出枠を購入する必要がある。

テスラは現在でもZEVのクレジット販売で年間100億円単位の利益を得ている
ZEV規制強化後は、これが1000億円単位に跳ね上がる。

規制によるクレジット販売で濡れ手に粟の利益を得て、
クレジットで儲けた莫大な利益を自社のEV開発につぎ込む。
潤沢な資金で高性能のEVが誕生すれば、あっというまに世界の主流になる。

欧州、米国、中国ともにEVが主流になった。
トヨタが推す水素カーは駆逐され、ガソリンカーとなり果てたプリウスとともに沈む。

テスラの投資者にはグーグルがいる。
トヨタから巻き上げた上納金(ZEVクレジット)でAI自動車とインフラの、
デファクトスタンダード(標準)を握れば、スマホ同様、トヨタはアジアの下請け工場になる。

トヨタはクルマを売れば売るほど、敵側にカネを吸い上げられ、
そのカネで敵は強力な武器をつくる。

カリフォルニアは全米で最大の自動車マーケット。
背後にロッキー山脈があり、出口のないスモッグ地獄で有名。
リベラルの聖地で、自然と環境が重視され、大気汚染対策、環境規制は世界で最も厳しい。

奥田時代は、NY、ワシントン、LAにロビイストを置いて、活発に活動を行っていたが、
現社長はクルマ屋にロビイ活動は不要と、経費削減してしまった。

カリフォルニアでロビイ活動を指揮できる優秀な奴は、いまのトヨタにはいない。
とくにカリフォルニアは特殊で、政財界より市民運動に通じたロビイストが有用。
カリフォルニア大気資源局は、弁護士、大学教授、エンジニア、企業経営者などから構成。
札束で面をひっぱたいても、それがどうしたという変人ぞろい。
並みのロビイストでは手も足も出ない。

ちなみに日経ビジネスの記事にもなってます。17年10月25日付。
小説は1年前の初版で予言してますが。日経はアカウント登録しないと読めないかも。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/102400753/?P=1




カリフォルニアへ行くよ♪
海は赤く 空は灰色だ♪
太陽の子が 目覚める♪
さあ 注意しよう♪

レッド・ツェッペリンで、カリフォルニア♪ 
ジョニミッチェルにささげた歌。ぼくなんかはジョニの歌のほうが先に頭まわる。
かのグリンジョンズがデヴィッドゲフィンに従ったのは、ジョニのプロデュースしたかったから。
ジミーペイジもジャコパストリアスも、みんなジョニに夢中です。まあそりゃ誰でもそうでしょう。





Led Zeppelin 4: Zoso

Led Zeppelin 4: Zoso

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
  • 発売日: 1994/07/18
  • メディア: CD




(関連記事)
【トヨタで学んだ「紙1枚」にまとめる技術/浅田すぐる/15年2月初版】
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コメント 2

song4u

>ボンボン社長だと、ワイロ贈って他国の世論を抑えたり、そういう発想がない

donさん、こんにちは。
急に寒くなりましたが、お元気でしょうか?
ぼくは風邪をもらったようで、ちょいと調子悪くマスクしてます。
タダだとすぐもらって来るからなあ、実に困ったものです^^;

さて、ボンボン社長ですね。
ボンボン社長さん、ぼくが思うには発想がないというよりも
発想しても実行に移せないタイプの人が圧倒的だと思います。
汚せないんですね、名前を。そのことをいつも真っ先に考えてしまう。
名前って、それぐらい高貴で重いものなんじゃないかと思います。
自分ではとてもコントロールできないと言うか、ね?

そこへ行くと、例えば奥田さんなんかは失うものがありません。
直感を速やかに行動に反映させて、もし失敗しても開き直ればいい。
奥田さんをよく知らないのに言うのも憚られますが、
ボンボン社長と奥田さん、能力の違いだけでは語れないと思います。
金儲けに執念を燃やすか、名前を守ることに拘るか?
二兎を追うと両方とも失くしてしまいそうです。

な~んてね、何も分かってないくせに、よく言うよね^^;
ではまた!
by song4u (2017-11-01 11:50) 

don

song4u さん、こんにちは~
風邪を召されましたか。今の時期おおいですよね。
マスクしてる人が。

名前、大事ですよね。
信用、ブランド。大切にしないといけない。
個人だけじゃなくて、会社もそうだと思います。

さいきんはコンプライアンスが隆盛で。
ブランドを守るためのコンプラだと思うのですが、
内部通報が活発になって。

コンプラをちゃんとやろうと思うと、ある程度資金力が必要で、
必然的に大企業の不適切行為がオープンになる。

中小のワンマンだと、「そんな調査やめとけ」
の一言で終わるんですけどね。

そしてパンドラの箱を開けてしまって・・
過去の汚点は蓋をして、今後は改善でいいと思うんですけどね。

名前を守ることにガチガチだと、
自由度は低くなって、コストはアップする。

そういうことなんじゃないでしょうか。
な~んて、何もわかってないのですが(笑)
[__犬]
by don (2017-11-01 12:34) 

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