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【日本の覚醒のために/内田樹】感想と読書メモ~なぜ米軍基地は北海道にないのか? [本/歴史地政]




【日本の覚醒のために/内田樹/17年6月初版】


今年読んだ本でベスト3に入る良本。
講演集なので、口語で書かれて読みやすいです。
学ぶところも多い。読書メモだらけになるので、買おうかなと思うくらい。

内田先生、ここ数年サヨクっぽくて敬遠してました。
ちょくちょく読んでましたが、以前ほど彼の本を読んでない。

サヨク的な部分は、売国ではありません。
それは本書をよめばよくわかる。対米従属をやめて自立すべき、国益を追求すべきと。
小林よしのりと近い部分があるかも。

ぎっしり350p、尻尾の先までアンコ(良質な思想)があふれています。
読んでると、頭のなかのコトバが良質なものに入れ替わる。

講演は6つ。演題は以下。

1.資本主義末期の国民国家のかたち
2.これからの時代に僧侶やお寺が担うべき役割とは
3.伊丹十三と「戦後精神」
4.ことばの教育
5.私が白川静先生から学んだこと
6.憲法と戦争 日本はどこに向かうのか
付.SEALDs 京都集会でのスピーチ

以下に要約読書メモを。


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特定秘密保護法の問題点


基本的人権である言論の自由を制約する法律。
国民にとっては何の利もない。なぜ反民主的な法律を強行採決したのか?
「このような法律がなければアメリカの軍機が漏れて、日米の軍事作戦の支障になる」
アメリカの国益を守るために日本国民の言論の自由を抑制した。

そもそも国家機密は政府のトップレベルから漏えいすることこそ危険。
イギリスのキム・フィルビー事件以降、
「諜報機関中枢からの機密漏えいはどうすれば防げるか?」が、
防諜活動の最大の課題になった。しかしそこには何の配慮もしていない。

国家権力中枢からの機密漏えいはすでに日常的に行われているはず。
もちろんアメリカに機密が流れている。
政治家でも官僚でもジャーナリストでも、知る限りの機密を「パイプ」に流し込んでいる。
アメリカの国益を増大させる情報であれば、見返りは個人的な報奨としてリターンされるから。

結果的に彼らの地位は上昇し、彼らが出世すればするほどアメリカに流出する機密は、
ますます質の高いものになる。そういうウィンウィンの仕組みがもうでき上っている。

特定秘密保護法は、
「彼らの作り上げてきた機密漏えいのシステムをより堅牢なものにするための法律」

これから先、日本政府の中枢からどのようなかたちで国家機密がアメリカに漏えいしようとも、
いったん「特定機密」に指定された情報については、それが何であるあか、
誰がそれをどう扱ったか、すべてが隠ぺいされてしまう。
どれほど秘密が漏えいしても、もう誰にもわからない。




集団的自衛権の問題点


平たくいえば「他人の喧嘩を買う権利」のこと。
これまでの発動例は、ソ連やアメリカという2大超大国が、
自分の「シマうち」にある傀儡政権が反対勢力に倒されそうになったとき、
「てこ入れ」するために自軍を投入するときの法的根拠として使う。
そういう事例しか過去にない。いったい世界のどこに日本の従属国があるのか?
日本には「シマうち」の国はない。

現実的にはアメリカが自分の「シマうち」をシメるときに、
日本もその海外派兵についていって、アメリカの下請けで軍事行動をとるということ。

アメリカは、アメリカの若者たちが中東や西アジアやアフリカで死ぬことに、
もう耐えられなくなっている。アメリカ人兵士が死ぬような戦闘はしたくない。
だから必死で「死者の外部化」をはかる。

ドローンを飛ばしたり、ミサイルを飛ばしたり、超高空から爆撃したり。
中東では民間の警備会社へ戦闘をアウトソーシングしてる。リスクの外部化。
そうすることで戦死者は減った。その代わりに財政上の負担が生じた。
アメリカ人の代わりに戦う傭兵たちは「命の値段」を要求する。
アメリカはその経済的な負担にうんざりしてきた。

そこに日本が「集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました」と言ってきた。
これまで民間の警備会社にアウトソーシングして、莫大な料金を請求されている仕事を、
これからは自衛隊が無料でやってくれると言ってきた。
アメリカとしては願ってもない話だから、「やあ、ありがとう」という以外に言葉はない。




なぜ日本は対米従属、自発的隷従をするのか


沖縄返還までの対米従属路線では、日本は犠牲を払う代償に、
アメリカからの譲歩を引き出そうとしていた。

90年代以降の対米従属をみると、どうもそうではない。
国益の増大を求めていない。国益よりも自分自身の出世とか地位の保全とか、
そのためにアメリカに対する忠誠心を誇示している。
国民資源をアメリカに売って、その一部を自己利益に付け替えようとしている。

対米従属するほど、出世し、個人資産が増える。そういう仕組みが日本でできてしまった。
「ポスト72年体制」に居ついた人々が、現代日本では指導層を形成していて、
政策を起案し、ビジネスモデルを創りだし、メディアの論調を決定している。

こういうことは「ふつうの主権国家」では起こらない。
これは典型的な「買弁」的な行動様式だから。植民地や属国でしか起こらない。




韓国やフィリピンは日本より主権国家


韓国は米軍基地の縮小を要求したが、
戦時作戦統制権はアメリカが持ち続けることを要求してる。
米軍基地は邪魔だから出て行けといっておきながら、
北朝鮮と戦うときはまず米軍に出動してほしいから、戦時作戦統制権は持っていてくれ。
「虫のいいこと」を要求している。かなりトリッキーな外交だが、主権国家としては当然のこと。
韓国は自国益をアメリカの国益に優先させようとしている。

フィリピンは一度は米軍基地を邪魔だから出ていけと追い出した。
南シナ海で中国との領土問題が起きると、やはり戻ってこいと言いだした。
首尾一貫してないが、原理はシンプル。アメリカの国益より自国益を優先している。

アジア諸国がアメリカと五分でシビアな折衝をしてる中で、
日本だけがアメリカに何も要求しないで、ただアメリカの指示に従っている。


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米軍基地が北海道にない理由


米軍基地は北海道にはない。沖縄に集中している。
それは米軍配置がそもそも対ソ戦のための布陣だから。
冷戦時代のアメリカはソ連の侵入は、北海道から始まると考えていた。
だからそこには米軍基地は置かなかった。
アメリカは戦争リスクの高いところには自軍基地を置かない。

戦争が始まりそうなところはその当事国の兵士に任せる。
そこがまず攻撃されて、まずその国の兵士や市民が死に傷つく。
それを見てから米軍の対応を考える。
その国を守ってるのだから、それくらいのアドバンテージは認めてほしい。
「なぜ同盟国の戦争で、まず米軍兵士が死ななきゃならんのか」
もっともな判断だ。でも正直にカミングアウトはしない。
その当たり前のことを、日本の政治家もメディアも語らない。




なぜアメリカはイスラム教とケンカするのか?


多くの国は自分たちの伝統的な仕組みを保持しようとして、グローバル化に抵抗してる。
その最大の抵抗勢力がイスラム圏。

というのはイスラム圏自体がもともとグローバル共同体だから。
イスラム共同体は7世紀から存在する世界的規模のグローバル共同体。もう1300年続いてる。
モロッコからインドネシアにまで広がり、人口16億人を擁する巨大な宗教共同体。

この16億人は祈りの言葉が同じで、服装規定が同じで、食事規定が同じ。
ラマダンもハラールも世界標準。ここまで同質性の高い集団が16億人という規模で存在する。
アメリカ主導のグローバリズムとは年季の入り方がちがう。同一性の高さがちがう。

そういう人たちに向かって、これからは英語で話してくれ、
宗教は私事だから公共に持ち込まないでくれ、食事や服装に関する禁制も緩和してほしい。
イスラム法を停止して欧米の法体系に揃えて欲しい。
といったことを要求してもおいそれと通らない。

アメリカはグローバル化の大義名分を掲げるが、
イスラム共同体は1300年前からグローバル化してる。こっちのほうがグローバルの老舗。
イスラム圏はグローバル化に屈服しなかった。

こうして2つのグローバル共同体が角突き合わせることになった。
その2つのグローバル共同体の境界線になっているところ、とりわけ領域国民国家として、
求心力の弱まっている国や地域でさまざまなかたちでの摩擦が起きた。
それがアフガニスタンであったり、シリア、イラク、イスラエル、パレスチナ、リビアである。
そういう土地で内戦が起き、テロが起きている。大きく見るとそういう話だ。

この2つのグローバリズムは全く性格が違う。エートスが違う。
イスラム共同体の基本原理は、遊牧民の組織原理だから根本にあるのは相互扶助と喜捨。
異邦人、孤児、身寄りのない人をとりあえず歓待せよ。遊牧民にとって必至の生活倫理。

この相互扶助と喜捨の倫理はアメリカングローバリズムとまったくそりが合わない。
合うわけない。新自由主義者のルールは、
「勝った者が総取り、負けた人間は野垂れ死にしても、それは自己責任」
欲しければ自分の才覚で勝ち取れ、そういう思想。

この2つの共同体のインターフェイスでは、すべての場所でいつでも暴力的な対立がおこる。
アメリカ型グローバリズムが、どこかで「世界をフラット化」する戦略を放棄しない限り。

著者(内田樹)はこれからしばらくはイスラム共同体のほうが「押してゆく」とみる。
それは圧倒的に年齢が若いから。イスラム圏の平均年齢は29歳。きわめて若い集団。
ちなみに日本は平均年齢45歳。





貧しくも愛し合う二人。
この幸せが永遠に続いて欲しいと願う。
少年は生活のため、イラクへの志願兵となる。除隊後は奨学金ももらえる。
少女はいう。今のままでよかった。なんでそんな大事なことを勝手に決めたのか。
少年はいう。誰かが国を守らないといけない。ぼくを誇ってほしい。
二人は争い、少年はイラクへ旅立つ。空を見上げ祈る少女。

グリーンデイに思い入れはないのですが、この歌は名曲です。
MVは映画仕立てになっています。


月日は足早に過ぎ去るが♪
失ったものを 忘れることができない♪
9月がおわるまで ぼくを起こさないで♪

グリーンデイのボーカル、ビリーの父は売れないジャズミュージシャンでした。
音楽的才能のあったビリーを、父は溺愛し音楽を教えます。9月10日に父はガンでなくなる。
ベッドの中で泣きながら11歳のビリーは母に、「9月が終わるまで起こさないで」と。
父を亡くした悲しみの歌は、9・11後は、音楽史にのこる反戦の歌となった。
2005年グラミー最優秀ロックアルバム賞受賞。
Green Day - Wake Me Up When September Ends♪









(関連記事)
【街場の読書論/内田樹/12年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

【疲れすぎて眠れぬ夜のために/内田樹/2003年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08

【日本辺境論/内田樹/09年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-08-21

【邪悪なものの鎮め方/内田樹/10年1月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-05-02


ちょっと重い歌だったので、もう1曲。
さいきんではあいみょんの「君ロック」、シシャモの「バイバイ」に匹敵するいい曲。これ売れるやろ。
めっちゃアースウィンド&ファイアっぽい。祝メジャーデビューシングル♪ 10月11日リリース。
BRADIOでラパパラダイス♪ わろたらアカンで^^
https://www.youtube.com/watch?v=5c1pwM4VcGM


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